心のグラスを満たすアート


早起きの休日

先週の土曜日に、娘と美術館に行きました。
4月からスタートし、先週末で終了する美術展があり、開催期間の最後の週末は私たちの様に滑り込みで来館する人で混雑すると思い、なるべく人の少ない早めの時間に美術館に行けるように早起きをして出掛けました。
晴れたり曇ったりの空模様でしたが気温的には穏やかな日で、お散歩がてら歩いて美術館に行くと、既に来場者でいっぱいでした。
以前、私がよく行っていた東京のプライベート・アートミュージアム(個人所有の美術館)の美術展で、現在その美術館は建て替えの為に長期休館中ということもあってか展示作品数が多く、第2会場も設けられていました。

懐かしい絵画たち

会場に入り、いつもの様に人混みから少し離れた場所で、絵画全体が見えるポイントタイミングを上手く見つけて展示作品を眺めました。
ほとんどの作品は東京で何度も見ていたものだったので「お久し振りですね」と心の中で絵画たちに挨拶をしながら、その当時を思い出し懐かしい気持ちで鑑賞しました。
第1会場は主に洋画の展示となっており、その中の私のお気に入りはモネルノワールの作品でした。
娘はルノワールが描いた少女の肖像画の、優しい瞳の輝き肌の美しさに目を奪われ、肌の色の描写に水色を使用していることに衝撃を受けていました。


ユニークなアート

小川が流れる音を聞きながら、初夏の緑が綺麗な庭園を通って第2会場になっている隣の美術館へ移動しました。
そこには日本人画家の作品が展示されていて、海外の印象派の有名画家たちの影響を受けて描かれたと思われる作品も幾つかあり、シャガールピカソカンディンスキーの融合のように見えたり、ピカソとダリの融合のように見えたりして面白いなぁと思いました。
第2会場では、私も娘も藤田嗣治を描いた作品が気に入りました。
こじんまりとした美術館は、階段のシルバーの手摺りがクネクネと曲線状になっていたり、二階の踊り場はバルコニーになっていて階下の展示スペースを眺めらるようになっているユニークな設計でした。

私のトライ

美術に興味があり、素敵な空間アートに囲まれて仕事ができたら最高だと思った私は、以前その美術館の受付・監視員の募集に応募したことがありました。
娘が小学生の内は、土日は娘と一緒に過ごしたいと私は考えており、面接に出向いて仕事の内容などを詳しく聞いたところ、土日も含めてスタッフ全員でローテーションを組むとのことで、私の希望条件と先方の希望条件が一致せず、残念ながら採用には至りませんでしたが「まぁ、こういう類の仕事で土日に休めるなんて都合の良い話はそうそうないし、仕事の仕組みや応募の要領がわかっただけでも、勉強になって良かったなぁ・・・」と思いました。

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グッジョブな娘

第1会場に戻り、ミュージアムショップでグッズを見ました。
ミュージアムショップには、面白いアートグッズがいっぱいあるので、美術館に行った際に私は必ず立ち寄ります。
家には、私が過去に訪れた国内外の数々の美術館ミュージアムショップで購入したグッズがけっこうあり、飾る場所がなくて段ボール箱で何箱かしまってあるので、これ以上購入しないよう私は娘に「ママがアートグッズや絵画を買いそうになったら絶対に止めてね!」と頼んであります。
いつもそのミッションを忠実にこなし、今まで何度も私の浪費を阻んでくれている娘には『グッジョブ、サンキュー★』という気持ちでいっぱいです。

もう一つの美術展

ミュージアムショップの隣に、藤田嗣治リトグラフが展示されているスペースがあったので行ってみました。
その美術館では、日本に魅かれ12年にわたり日本に滞在して画家たちと交流を持ったアメリカ人の所蔵品の美術展も開催されており、その展示作品の中から一部のリトグラフを展示販売しているとのことでした。
藤田嗣治珍しい作品が展示してあると聞き、私と娘はせっかくなので鑑賞することにしました。
絵画の他に、画家たちから友人として受け取ったカードや手紙なども展示されており、センスの良いイラスト入りでどれも可愛らしかったです。

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魅かれる画家

私も娘も、猫好きという共通点がある藤田嗣治が大好きで『きのこカットに丸メガネの猫好きなおじさん』と表現し、深い愛着を持っています。
猫好きが知る、ありがちな猫の仕草を描いた作品に、気持ちがほっこりします。
私は、絵画ではゴッホ、モネ、シャガールなどの作品が大好きなのですが、作品と画家本人の両方を合わせて考えると、自身の容姿を独特なファッションセンスでプロデュースしていた藤田嗣治サルバトーレ・ダリに魅かれます。
その美術展の展示作品を所蔵しているアメリカ人と日本の画家たちの交流を撮影した楽しげな写真を見て、私はミッドナイト・イン・パリという映画を思い出しました。

魅力的な映画

手掛けている仕事や、挑戦していることが上手く進まずにいた主人公の男性が、パリを訪れた際、画家たちが活躍していた華やかな時代タイムスリップし、才能溢れる画家たちとひと時を共に過ごして多大な影響を受け、消沈しかけていた情熱を取り戻し、新しい一歩を踏み出すという内容の映画で「私もあんな風に画家たちと時間を共有し、シャンパングラスを片手に語り合ってインスピレーションを受けることができたら素晴らしいだろうなぁ・・・」と、うっとりと憧れていました。
タイムスリップした時代の再現や画家たちの描写にとても凝ったその映画を、今度は娘と一緒に観たいと思いました。

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洗練された空間

日本のプライベート・アートミュージアムでは、倉敷の大原美術館、箱根のポーラ美術館、東京のブリジストン美術館、福島の諸橋美術館などが有名だと思います。
私はまだ大原美術館には行ったことがなく、いつかはあの神殿の様な建物と、大原美術館展で展示されていない有名な所蔵品をぜひ見たいと思っています。
ポーラ美術館は、白い壁や天井、大きなガラスから射す自然の光が、明るく開放感のある空間を演出し、足を踏み入れたとたん自分が特別な存在になったような気持ちになりました。
テラス席もある上品なレストランは高級感と遊び心があり、その美術館は大人が森の中で羽を伸ばす為の洗練された場所でした。

ダイナミック&ワイルド

現在、ポーラ美術館には森の中を散策できる遊歩道があるそうなので、緑が綺麗な時期に訪れ、今度は美術鑑賞やお食事の他に森林浴もしながら、のんびりと過ごしたいと思います。
同じエリアにある彫刻の森美術館も、壮大な自然の中に幾つものダイナミックな美術品が点在し、ワクワク度が高かったです。
私が訪れた際に、カフェでシャンパンのキャンペーンをしていて、ヴーヴ・クリコのベビーボトル(一番小さいサイズのボトル)の口にオリジナルのシャンパン・ポアラーを差し込んでボトルのままワイルドに飲むという斬新なスタイルシャンパンを楽しんでいるのがカッコよかったです。


緩く長い目標

私は、自分が感銘を受けたものや風景をできる限り娘にも見せたいと思っており、中でもそれらの美術館は外せない場所なので、いつか必ず箱根で温泉と美術鑑賞の旅をしようと思っています。
そのときは、大自然の中のアートを楽しみながら、カフェでシャンパを娘と一緒に味わいたいので、その旅行はあと9年以上先の話になります。
私のしたいことの多くは、娘が大人になってからのことなので、それまではとにかく健康でしっかり動ける状態でいるのだと自分に言い聞かせ、自己の健康管理緩く長く励むつもりです。

お気に入りの美術館

福島県諸橋美術館は、大きな池の水面に建物が映るメルヘンな景色が印象的で、サルバトーレ・ダリの作品が多く展示されているゴージャスな美術館です。
スペースを贅沢に使った展示方法も好きで、私は猪苗代湖へドライブがてら何度も訪れました。
そこには他の有名な画家の作品もあるのですが、私にはメインで展示されたダリの作品のインパクトが強すぎて、それ以外はあまり記憶にありません。
また、松尾芭蕉の俳句にも詠まれた山形県山寺にある後藤美術館には、ガレドームの作品が所蔵されており、ガラス好きな私はよく訪れ、アールヌーボーの優雅なガラスの芸術品を眺めていました。

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心のグラス

自分が好きな美しい芸術作品を鑑賞すると、まるで心のグラス『アート』という名のワインを注がれたように、潤いで満たされた気持ちになります。
仕事で忙しい毎日を送っていると、アートと関わることをつい後回しにして機会を失いがちですが、心に余裕がなく殺伐としているときこそ、感動で心を潤し感性を磨く必要があるということを、懐かしさと共に思い出しました。
今回の美術鑑賞で得たインスピレーションを活かし、今後も個性的な感性第一の生き方を楽しんでいこうと思います。