『ワイン体験レポート2年目』10月

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念願の収穫

2018年10月13日(土)、娘と一緒にワイン葡萄の収穫に行ってきました。
前夜の酷い風雨から一転して朝はすっきりと晴れ、車窓から見える彩づき始めた山々と、穏やかな海の景色が綺麗でした。
昨年は、自分が栽培に関わったワイン葡萄畑の収穫に、残念ながら予定が合わなくて参加できなかったので、ワイン葡萄の栽培指導をしてくれているワイナリーのオーナーの畑でワイン葡萄の収穫作業を体験させてもらいましたが、今年は前もってだいたいの収穫日が知らされていたので、「今年こそは自分が手掛けたワイン葡萄の実りをこの目で見て収穫するぞ!」と楽しみにしていました。

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誇らしい芸術作品

ワイン葡萄畑に着くと、葉が生い茂った葡萄棚の一番下の段にぶら下がっているワイン葡萄たちが目に入りました。
たわわに実ったワイン葡萄の房を手にしてみると、艶と張りがある濃い紫色の実がたくさんついており、ずっしりとした重みに感動しました。
絵画のような美しさを持つワイナリーのオーナーのワイン葡萄畑とは違い、枝やツルが伸びる方向が不規則で、木によって実がいっぱいついていたり全くついていなかったりとバラバラな状態でしたが、自分が実際に栽培作業に関わったワイン葡萄畑は最高の芸術作品に思え、『達成感』『誇らしさ』を感じました。


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自由なワイン葡萄の木たち

まずは収穫方法の指導を受けました。
前回、私が収穫作業をしたワイン葡萄畑は全ての木が規則正しく育ち、同じ様に実がついていたので、一番太い枝になっている『一番なり』のワイン葡萄だけを収穫するというルールに従って作業を進めれば良かったのですが、私が栽培作業に関わっているワイン葡萄畑は一本の木からメインの枝が二本生え、左右にわかれて伸びていたり同じ方向に重なった状態で伸びていたり、同じぐらいの太さの枝が何本か伸びていて、どれがメインの枝なのかわからない木があったりで、それぞれの木で見極めが難しく作業に手間取りました。

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素敵なアイデア

メインの太い枝から出たツルに実っている『2番なり』『3番なり』のワイン葡萄も立派な房で甘かったので、ワイン用に収穫したいぐらいでしたが、ワインの質の為に収穫しませんでした。
残したワイン葡萄は後でまとめて収穫しジュースにするとのことで、ワインだけでなくジュースもたくさん作られれば、ワインが飲めない人子供たち実りの喜びと味わいをシェアできるので、素敵なアイデアだと思いました。
ワイン葡萄は食用葡萄と違って甘くないと思われてますが、実はなかなかの甘さがあり(糖度が少ないと十分なアルコール度のワインにならないので)、私たちは収穫しながらけっこう食べました。

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人生の宝

私は娘と一緒に収穫作業をし、私が葡萄の房を枝から切り取って娘に渡し、娘が葡萄の実をチェックしてカビがついた粒やシワシワにふやけている粒を取り除くという流れで、テンポよく進めました。
昨年は娘の作業が未熟だった為、最後に私がチェックして仕上げていたので時間が掛かっていたのですが、今年は娘が担当した作業の出来は完璧でした。
子供の1年間の成長は大きいので、娘には驚かされ感心させられています。
頼もしく成長していく娘と一緒に共通の趣味を楽しめているこの時間は、大切な宝物として記憶に残るのだろうと感慨深く思いながら、私は作業を続けました。


嬉しい『プレートランチ』

午前中に収穫作業を終え、みんなで昼食を頂きました。
以前、コックとして働いていたという近所の農園の方が作ってくれた、地元の野菜たっぷりの『プレートランチ』は栄養満点で、意識高い系のお洒落さとひねりを利かせた珍しい味付けで作られており、私たちはよく味わい、興味津々に頂きました。
塩に漬けてから干したニンジンに衣をつけてサクッと上げた『塩ニンジンのフライ』が特に人気でした。
普段、自分が料理をする立場にいると、人に作ってもらえるご飯は特に美味しく感じます。
手の込んだ丁寧な食事を振舞ってもらい、ありがたさをしみじみと感じました。


ワイン葡萄踏み

午後からは、ワイン葡萄栽培の指導をしてくれているワイナリーのオーナーの所に行き、収穫したワイン葡萄を潰す作業に入りました。
直径50センチ、深さ65センチ程の、寸胴鍋のようなステンレス製の入れ物にワイン葡萄を半分くらいまで入れ、専用の長靴を履いて一人ずつその入れ物の中に立ちワイン葡萄を踏み潰しました。
最初はボールプール(子供の室内遊技場にあり、直径8センチ程のゴムボールが敷き詰められているもの)に足を踏み入れたような不安定な感覚で、何かに掴まらないと立ってられませんでした。
足踏みをすると、エアークッションのプチプチが潰れていくような感じがしました。


樽詰め作業

葡萄が潰れて果汁が溜まってくると、田んぼぬかるみを歩いているみたいに足を取られ、段々と動くのが大変になりました。
果汁の量が増えれば増える程、まだ潰れていない葡萄の房が果汁の中でプカプカと逃げるのでなかなか踏めず、全部を完全に潰すのは無理でした。
ワイン葡萄がある程度潰れたら、果汁も葡萄の皮も全部まとめてイタリア製の大きな濾し機に入れ、果汁だけを他の寸胴鍋型の入れ物に満タンになるまで貯めてから、大きなステンレス製のワイン樽に移し入れました。
ワイン葡萄が240キロぐらいあったので、全員で順番にそれらの作業をひたすら繰り返しました。

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盛り上がる作業体験

収穫したワイン葡萄を潰し終わるまで時間が掛かるので、その間にせっかく搾った果汁が酸化してしまわないよう、果汁を溜める入れ物ワイン樽ドライアイスを入れ、発生する二酸化炭素の重さを利用して溜まった果汁に見えない蓋をしました。
搾りたての濃厚なワイン葡萄ジュースをみんなで頂きながら、お祭り気分で作業は進みました。
「ワイン造りの作業をしてるとワインが飲みたくなるよねー!」「今夜はワインで決まりでしょ!」と話していると、優しいワイナリーのオーナーが試作品の赤ワインのボトルを開けてご馳走してくれました。
私たちはオーナー特製の特別なワインを頂き、更に盛り上がりました。


昔ながらのスタイル

何度も作業を繰り返し、大きな濾し機に葡萄の皮や絞り残しの実などがいっぱになると、それを搾って果汁をとるという作業に移りました。
イタリア製のその濾し機は、木の蓋をした上にパズルみたいに木材を積み重ね、金属の抑えと長い棒をセットし『てこの原理』を使って長い棒を前後に動かしながら手動で絞るという昔ながらのスタイルで、かなり体力を要する作業でした。
最初は葡萄の皮などが高く積まれていたので棒の位置が私の目の高さ位でしたが、絞っていくうちに圧縮されて徐々に棒の位置が私の胸の高さに変わってきたので「この高さなら私でもイケる!」と思い挑戦してみました。


こだわりのワイン造り

最初は順調に動いていたハンドルが、圧力が掛かると重くなり簡単には動かなくなりました。
少し時間を置けば果汁が流れ出て圧力が抜けるとのことでしたが、みんな苦戦していました。
現代では機械で圧搾されるのが一般的ですが、このワイナリーのオーナーはいつもこの方法でワイン造りをしています。
日々の畑の管理や栽培作業なども合わせて考えるとかなり過酷な労働だと思い、私は「ワイン造りは体力勝負ですね」とグラスを片手にオーナーと話しました。
すぐ外にあるオーナーのワイン葡萄畑を見に行くと、昨年と同様、洗練されたアートのような葡萄棚が広大な敷地に広がり、圧巻の風景に感動しました。

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大きな『ケーキ』

心地良い風に吹かれオーナーのワイン葡萄畑を見学しながら歩いていると、オーナー宅の猫『ニャー太』が外でゴロンと寝そべっていました。
丸々とした大きな体を見ると、オーナーに愛されている様子が伝わってきて、ほっこりとした気持ちになりました。
澄んだ空気猫の可愛さにすっかり癒されワイナリーへ戻ると、圧搾作業が終盤に差し掛かかっていました。
濾し機を解体すると圧縮された大量の葡萄の搾りかすが姿を現し、それは見た目のまんま『ケーキ』と呼ばれているとのことでした。
崩して捨ててしまうのがもったいないほど美味しそう『ワイン葡萄のケーキ』でした。

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プライスレスなひととき

自分が栽培に関わったワイン葡萄を収穫し、長靴姿秋晴れの空と美しいワイン葡萄畑を眺めながらワイナリーの特別なワインを味わい、作業体験や語らいを楽しむひとときは私にとってプライスレスで、お洒落をして洗練されたゴージャスなシチュエーションでグラスを傾ける時間よりも贅沢に感じられ、この瞬間にここにいられる幸運御縁に心から感謝しました。
私が栽培作業に関わっている畑のワイン葡萄は『600年前のワイン造り』をテーマに、栽培指導をしてくれているワイナリーのオーナーの手によって毎年異なる醸造方法でスパークリングワインへと生まれ変わっています。
今年はどんな仕上がりで喜び感動を与えてくれるのか、試飲会待ち遠しい限りです。

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