お財布を忘れて

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感動の余韻で

先日、お財布を持たないで会社に行ってしまいました。
数週間前の週末、娘の学芸会を観覧する為に小学校へ行き、娘の演技に感動しながら成長を感じ、帰宅してからもしばらくその余韻に浸っていたところ、お出掛け用のバッグから通勤用のバッグにお財布を入れ替えるのをすっかり忘れてしまったのです。
電車通勤の際は定期券を使うのでお財布は必要なく、お昼ご飯は家から持っていくので途中でお買い物をする必要もない為、私は帰りまで自分がお財布を持ち歩いていないことに全く気がついていませんでした。

『オーマイガッツ石松』な事実

その日は週に一度の空手教室がある日で、私は娘を迎えに行く為にいつものように路面電車に乗り込みました。
乗車料金の小銭を準備しようとお財布を探し、初めて「おや?お財布はどこだろう?」
と思いました。
「きっと何かの陰に隠れてバッグの奥深くに入っているに違いない。」自分を信じ、バッグの中を隈なく探している内に「あーっ、そういえば学芸会の日に使ったバッグからお財布を入れ替えてなかった!」と思い出し、『オーマイガッツ石松事実にアタマの中が真っ白になりました。

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何も持ってない私

目的の駅はまだまだ先だったので、駅に着くまでにどうするかを考えようと、まずは気持ちを落ち着かせ、バッグの中にお金カード等がないかを確認しました。
何かあったときの為に携帯電話ケースのポケットに入れていた五千円札は、新しい携帯電話ケースに変えてからは入れておらず、いつも持ち歩いていた予備の小さな財布は、最近バッグが重いという理由で持ち歩くのをやめており、私はお金は愚かクレジットカードもキャッシュカードも何も持っていないまま路面電車に乗っていたのでした。

トホホな気分

以前、通勤時に定期券の期限切れに気づき、お財布の中にちょうど3か月の定期券代分くらい現金があったので購入しました。
お財布にはもう小銭しか残っていない状態でしたが、ATMはまだ利用できず、仕事の帰りにお買い物をするまではお金は必要ないので、とりあえず大丈夫だろうと会社に行きました。
「この状態で事故なんかにあって身元を調べられた際に、大人なのに所持金が数百円なんて知られたら恥ずかしいから、今日は何としても無事でいなくては!」などと思いましたが、今回は数百円どころかお財布ごと持っておらずトホホな気分でした。

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世知辛さと救い

「油断してるときに限ってこういうことになるよねぇ・・・お金もないのに電車に乗っちゃってるし・・・」と途方に暮れましたが「窮地に陥ったときこそ、状況を立て直す生き力と人間力が試されるものよ!」と、気を取り直し、あれこれ策を練り始めました。
路面電車「1万円札しかなくて両替できないので次に乗ったときに2回分の乗車料金を払います」と乗務員さんに言っている乗客を過去に何人か見かけたことがあるので、乗務員さんは説明すればきっとわかってくれると思い、少し救われた気持ちになりました。

打開策とシュミレーション

『では、どこの駅で降りてどうするのか?』が次の課題になりました。
 空手教室の近くの駅で降りてまずは娘を迎えに行き、娘が持っている小銭で帰りの乗車料金を支払い家に帰る。
 娘が二人分の乗車料金を支払えるだけの小銭を持っていなかったら帰れない。

② 空手教室の近くの駅を通り過ぎ一度家に帰り、お財布を持ってまた路面電車に乗って娘を空手教室に迎えに行く。
 時間が掛かるので娘のお迎えの時間を大幅に過ぎてしまう。

③ 娘の空手教室がある駅で降りてまずは娘を迎えに行き、タクシーで帰り、財布を家からとってきてタクシー代を支払う。
 無駄な出費だが、家に帰れないのだから仕方がない。

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新たな打開策

「まぁ、③しか方法はないよなぁ・・・」と思ったとき「そうだ!ゆうちょ銀行の通帳ならカードがなくてもATMで現金が引き出せる!」と気がつき、バッグの中にある通帳を確認しました。
そして、どこにゆうちょ銀行のATMがあるのかをiPhoneで検索し、路面電車の駅のすぐ近くにある大きな郵便局を見つけ、その駅で降りて現金を引き出すことにしました。
その駅は、空手教室の近くの駅から3つ目の駅だったので、娘のお迎えの時間にも遅れずにすみそうでした。

現金との再会

「おぉー、神よ!」と大袈裟に喜びながら空手教室の近くの駅を通り過ぎ、郵便局の近くの駅で乗務員さんに「お財布を忘れてしまったので、今からあの郵便局に行き、この通帳でお金を引き出します。その後、また路面電車に乗る際に2回分の乗車料金をお支払いさせて下さい。」と、通帳を握りしめながらお願いしました。
乗務員さんが承諾してくれたので、私はいそいそと降りて郵便局のATMに向かい、帰りにスーパーでお買い物もできるぐらいの現金を引き出しました。

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2回分の乗車料金

ゆうちょ銀行の封筒に入れた現金を手に、私は反対方向の路面電車に乗って空手教室へと向かいました。
降りる際、2回分の乗車料金を支払う説明をどうしたら一番わかりやすいかを考えていた割には「あのぉー、えーっと、実は・・・」とまごついていると「あぁ、もしかして2回分の乗車料金の支払いですか?」と言われ「そうそう、それです。すみませんでした。」と言って支払いました。
察しの良い乗務員さんの様子から「私みたいにお財布を忘れたまま乗車しちゃう人ってけっこういるのかも?!」と思いました。

頑張ったご褒美

娘に会ってその『オーマイガッツ石松な話をすると、「えーっ、ママ何してるの?驚きなんだけど!!」と呆れられ、「ウケるー!」と大笑いされました。
娘は二人分の帰りの乗車料金を支払えるぐらいの小銭は持ち合わせており、私があれこれ考えてお金を引き出さずに迎えに行っても家に帰ることはできたようでしたが、せっかくお買い物をする分の現金も引き出したので、自業自得なりにも状況を立て直して頑張った自分へのご褒美に、お寿司お刺身を買い、家でビールを飲みました。

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素敵な地域性

この地域に移住して以来、私は日常的に路面電車を利用しています。
最新の車両も運行する中、イイ感じに古びた昔ながらの車両も運行しており、車窓から眺める見慣れた街並に何だか心が和みます。
路面電車の車内には『傘の無料貸し出しサービス』として冬季以外はビニール傘が常備されています。
そういった親切なサービスは、マナーを守ってきちんと返却する地域の人々の誠実さ乗務員さんたちの真心があってこそ成り立ち、また、今回の私のようなケースへの対応についても同じことがいえると思います。

貸し切り路面電車

人の温かさを感じることができるこの地域の路面電車を、私はこれからもしっかりお財布を持った状態で利用させて頂こうと思います。
路面電車貸し切りサービスもあり、たまに貸し切り電車で街を周りながらパーティーをしている団体を見かけます。
娘がまだ小さかった頃、貸し切りの路面電車紙芝居人形劇を見せてもらえるイベントに参加させて頂いたことがあります。
貸し切り料金はそこまで高額ではないので、私もいつか路面電車を貸し切りにしてイベントを開催してみたいと思っています。

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愉快ではない現実

日本の国民的アニメサザエさんのオープニング曲には「♪ 買い物しようと街まで出掛けたら 財布を忘れて愉快なサザエさん みんなが笑ってる~ 小犬も笑ってる~ ♪」という歌詞があります。
私は今回、実際に自分が財布を忘れてみて「財布を忘れたら本人は大抵パニック状態に陥って、愉快なことなんて何ひとつないですよ・・・そんな困っている真っ最中の人を、みんなも小犬も笑っちゃうなんて酷すぎやしませんか・・・(涙)」と、ワナワナと身体を震わせながら思いました。

皆様も、お出掛けの際にはお財布を忘れないようお気を付け下さいませ・・・
路面電車の乗務員さん、この度は親切なご対応をありがとうございました( ;∀;)