『ワイン体験レポート3年目』9月


ワイン葡萄の収穫作業

9月最後の週末、娘とワイン葡萄の収穫に行ってきました。
今年は娘が中学生になり、部活動や塾で夜遅い時間までフルに行動する生活スタイルに変わった為、時間と体力に余裕がなくずっとワイン葡萄の栽培作業に参加できていなかったので「収穫作業だけは何としても参加したい!」と思っていました。
例年、収穫作業は10月なのですが、天候との兼ね合いで早めに収穫しないとワイン葡萄の木の病気やカビが心配だということで今年の収穫作業は9月にすることになりました。
毎年、収穫したワイン葡萄で作られたスパークリングワインが2月にリリースされると、それを飲んだ感想をブログ記事にして掲載しているのですが、今回はその記事さえも書いていなかったことから、自分がいかに忙しい日々を送っていたかが伺えました。


過去のスパークリングワインたち

いつもは、リリースされるとすぐにスパークリングワインを4~5本購入し、手元に届くとすぐに1本目を開けて飲みます。
昨年までは飲む間隔を1か月ずつ空けて瓶の中で進む自然発酵により少しずつ変わる味の違いを楽しみながら飲んでいましたが、早い時期の味や香りの方が私の好みに合うとわかったので、今年は購入してからあまり月日をおかないで週末ごとに飲んでいました。
2016年のワイン葡萄は、色付け程度に果皮を少し入れて醸造した淡い桜色『つつましやかなプリンセス』のようなスパークリングワインに仕上がりました。
2017年のワイン葡萄は果皮をしっかりと漬け込むことでルビー色『若き日のカルメンのような鮮やかなスパークリングワインに仕上がりました。


春に味わった感想

2018年は、一人立つのにピッタリの小さなステンレス樽の中に収穫したワイン葡萄を適量入れ、みんなで順番に足で踏みつぶして果汁を絞り、白ワイン仕立てのスパークリングワインにするために果皮を漬け込まないで醸造され、前年よりも優しい『朝焼けを映した雲』のような色のスパークリングワインとなりました。
チューリップ型の細長いグラスに注ぐと果実の香りが広がり、美しい色合いと泡をしばらく楽しんでから飲み始めました。
ワイン葡萄の糖分はアルコールに変化しており、発泡させる為に後からボトルに注入するワイン葡萄ジュースもすっかり泡に変化していたので、香りから想像されるほどのジュース的な味わいではなくしっかりとした大人のお酒でした。


驚きの激励

早起きをして始発のバスに乗りワイン葡萄畑がある施設につくと、一年ぶりに会うワイナリーのオーナーが笑顔で私たちを迎えてくれました。
私が転職をし、今年の6月から障がいのある方々が社会と繋がり、スポーツを通して健康的な生活を送れるような活動を推進し、大小様々な大会を開催し発表の場を作る公益性の高い社会福祉事業に携わっていることを話すと、ワイナリーのオーナーは20年程前に東京で働いていた頃、一緒にその事業をしないかと知人に誘われたことがあって事業内容を知っており「素晴らしい事業に係れて良かったね。当時、自分は忙しくて事業に参加できなかったけど、なかなかないラッキーなチャンスだと思うから、しっかり頑張って!」激励されました。


愛想の良い羊たち

私が携わっている事業は残念ながらまだ知名度が低く、事業名を聞いただけでわかる人はほとんどいないので、ワイン葡萄栽培の指導でお世話になっているワイナリーのオーナーが知っていたことに不思議な御縁を感じました。
ワイン葡萄の収穫作業に取り掛かろうと畑に向かって歩いていると、3頭の大きな羊が草を食べているのが目に入ったので、挨拶をしようと娘とテンション高めに羊のエリアに立ち寄りました。
施設の人に羊の名前を聞き、柵の近くで呼んでみると3頭とも私と娘の所へ吹っ飛んで来てくれました。
いつもなら娘の方が私よりも動物受けするのですが、1頭の羊が私に頭をこすりつけながら猛アピールしてくるので、何だかちょっとモテているような気分になりました。


ネーミングセンス

2頭はその施設の羊で、1頭はワイナリーのオーナーの羊を一時的に預かっているようでした。
ワイナリーのオーナーの所には3頭の羊がいるのですが、2頭は交配の為に出張中で、センシティブな生き物の羊は1頭だけでいると狂ったように鳴き続けストレスで病気になってしまう為、施設の2頭と一緒にお留守番をさせてもらっているらしく「動物の習性もいろいろ大変だなぁ・・・」と思いました。
オーナーの羊たちは、顔の部分が黒い子がクロベエ、白い子が『シロベエ』、そしてお留守番中の子はビビりやすい性格なので『ビビ子』、飼っている大きな猫は『ニャー太』という名前で、私はワイナリーのオーナーの赤塚不二夫を思わせる昭和ちっくなネーミングセンスが好きです。


贅沢な収穫方法

私も娘もワイン葡萄の収穫作業を何度かしているので、今までの経験で習得したコツを活かしスムーズに共同作業を進めることができました。
今年のワイン葡萄は予想以上の豊作で、スパークリングワインを醸造して余った分はジュースにしたり、新たに設立された他の地域のワイナリーに委託して赤ワイン醸造したりするとのことで、1番最初に収穫するスパークリングワイン用のブドウは一番なりのワイン葡萄(一番太いメインの枝になっている葡萄)だけを抜粋するという、とても贅沢な方法で収穫しました。
カゴに入れたときにワイン葡萄の実が傷つかないように収穫の際は茎がなるべく短くなるように切り、傷んだ実やしぼんでいる実を全て除去してからそっとカゴに並べていきました。


大自然のランチ

人数が多かったからかあっという間に収穫作業が終わり、収穫したワイン葡萄を囲んでみんなで記念撮影をし、ランチをとることにしました。
醸造に使えなさそうな粒に張りのないワイン葡萄を房ごと羊たちにあげるとムシャムシャ食べており、羊たちはもっと食べたそうな様子でしたが、糖分を摂りすぎるとお腹を下してしまうとのことでお預けをされ,とても残念そうでした。
以前レストランのコックをしていた近所の農家の奥さんが、地元の食材をふんだんに使用し手間暇をかけたお料理を作ってくれ、今回はビュッフェスタイルで振舞われました。
採れたての新鮮な野菜鹿の肉が健康的に味付けされた意識高い系のランチは、大自然の中でいただくのにピッタリでした。


様々なメンバー

ランチの際に自己紹介をしあうと、その施設の『ワイン倶楽部』で年間を通してワイン葡萄栽培を学んだ人たちや、持続可能な生活スタイルを学ぶ為に研修スタッフとしてその施設に何か月か住み込みで滞在している若者たち、日本が大好きなベルギー人の建築家など個性的でパワー溢れる面々でした。
私が自分の自己紹介で現在携わっている事業の話をすると、ベルギー人男性「その事業、知ってる!」と反応していました。
作業開始の時間が近づいていたのでその場で掘り下げた話はできなかったのですが、後日、インターネットで調べてみると、過去に開催されたベルギー大会の際に親善大使のサッカー選手知名度の低かったその大会の存在をSNSで周知したというニュースを見つけました。


嬉しい感動

そのサッカー選手は炎上覚悟の上大胆な発信をし、一部から批判を受けるも心に響くメッセージで大会や事業内容への理解を求め、ベルギー大会の会場を観客で満員にしたのでした。
私はその行動に感動すると同時に『障害を持つ人々の為の社会福祉事業』を多くの人々に知ってもらえたことを嬉しく思い、私が開催に携わっている今回の冬季大会を通して日本でも知名度が上がるよう、陰ながらだけど仕事に励もうと思いました。
娘が自己紹介で「小学生の頃から空手を習っています!」と言うと、意外とみんなの食いつきが良く「凄いね!」感心され、娘はすっかりご満悦でした。
自分の意思で始めた空手の稽古が娘にとって自信に繋がる財産となり成長させてもらっていると感じました。


醸造の仕込み作業

午後からはワイナリーに移動し、スパークリングワイン醸造の仕込み作業をしました。
ワイナリーのオーナーは、電気に頼らない『600年前のワイン造り』をテーマに、毎年少しずつ違った手法改良を重ねながら私たちのスパークリングワインを醸造してくれており、仕込みの工程を私たちにも体験させてくれるので、私にとってワイン葡萄の収穫と仕込み作業は一年で一番の大きなイベントです。
今年は、ハンドルを回すと内蔵された網が回転し果実果梗(かこう:果実がなる軸の部分)に分けられると同時に搾汁ができる大きめの手動式機械を使って作業をし、庭用の丸いビニールプールぐらいの大きさの桶に果汁と果実を溜め、それをまた別のイタリア製の手動濾し機に入れて更に搾汁してとれた全ての果汁を大きなステンレス製のワイン樽に入れました。


幻のオリジナルワイン

分別型のハンドル式機械を使用したことと、力持ちの若い男性が作業に参加したことで、仕込み作業は昨年よりもだいぶ早く進みました。
作業場にワイナリーのオーナーが自分で飲む為に醸造した、市場には出されていない『幻のオリジナルワイン』があったので、さりげなく飲みたいアピールをしてテイスティンググラスでいただきました。
フルーティーな香りが際立つ、果実の味がしっかり残った酸味のある赤ワインで、普段の醸造方法なら仕込み前に除去する貴腐化したワイン葡萄の粒を除去せずに醸造されたものでした。
「酸っぱくて苦手」という人もいましたが、私は「開栓してから1~2日たったぐらいのピノ・ノワールに似てるかも・・・」と、けっこうな量を美味しくいただきました。


年に一度のご褒美

ワイングラスを片手に今年のワイン葡萄の品質や今後のワイン葡萄栽培について話しながら過ごすゆったりとしたひとときは、年に一度のプライスレスなご褒美と言っても過言ではありません。
気持ちの良い秋晴れの空の下、規則正しく手入れされたワイン葡萄棚が広がるフランス絵画のような美しい畑のすぐ側で、スパークリングワイン醸造の仕込み作業をさせてもらえるこの機会は、洒落たレストランで催される豪華なワイン会よりも私にとっては貴重で価値のある時間に思えます。
今年もワイン葡萄畑を後にし「素敵な時間を過ごさせてもらえて本当に幸せだなぁ・・・」とこの御縁に心から感謝し、満足感に包まれながら笑顔で帰路につきました。
12月に予定されているスパークリングワインの試飲会には絶対に参加したいと思っており、今からとても楽しみです★


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