今年の春から習い事を始めて、一人でよく外に出るようになった。
今まで ずっと娘中心の生活だったので、出掛けるのは娘のイベントや習い事の為に街に出るくらいだった。
2011年の東日本大震災で被災し、親戚も知り合いもいない土地に自主避難してからは、以前よりもますます家に籠るようになった。
安全な場所に避難したのだからもう大丈夫だと自分では思っていたのだが、震災で体験した恐怖と、将来設計までしていた平和で順調な生活が突然ガラリと変わってしまうことで受けたショックは想像以上に大きく、長く私の心を沈ませた。
対策 一人の時間もどこかに出掛ける気にはなれず、家でお気に入りの海外ドラマを見ながら娘の洋服を作ったり、家庭学習の教材やプリントを作ったりして、なるべく生活の変化について考えないように過ごしていた。
震災のことを思い出すのも、人に聞かれて話すのも精神的に辛かった ので、その必要がないようになるべく人との付き合いを避けた。
VS冬 どんどん夜が長くなり寒さが増してくる冬は特に気が滅入りやすくなるので、一人で過ごす時間はお笑いのDVDや録画したバラエティー番組を途切れることなく見続け、とにかく笑っているようにした。
「きっと鬱というのは些細なきっかけで誰でも簡単になり得るものなのだろう」と思いながら、暗い気持ちに飲み込まれないよう気を張って、厳しい冬をやり過ごしてきた。
進歩 避難生活を始めてから5年が過ぎると気持ちも生活のスタイルも安定し、雪道で滑って転ばない歩き方もマスターして、長く寒い冬も上手に楽しめるようになった。
娘が段々と自分のことをするようになってきたので、そろそろ私も新しい一歩を踏み出してもいい時期かと思い、外に出て自分の為の勉強を始めた。
私は学ぶことが好きなので、外にある自分の居場所で新しい知識を得ることのできる日々が嬉しくて仕方なかった。
先生 秋からは創業スクールや起業の講習会に頻繁に参加し、様々な人と出会った。
5年ぶりに外の世界に目を向けてから素敵な先生が何人もでき、とても大きな影響を受けている。
講師としてではなく出会った人たちも、私が知らない知識を持っている人は皆先生だと思うので、私には本当にたくさんの先生がいることになる。
きっと 人間は自分の考え方や気持ち一つで、いくらでも失ったり得たりすることができるのだと思う。
私はこの御縁を大切にし、いろんな分野のことを教わりながら、プラスの方向に進んでいきたい。
新たに変わり始めた自分の生活に、今とてもワクワクしている。