ストレスと嫌な夢
ここ数日、悩み事とストレスで塞ぎ込んでいたせいか、怖い夢を見てハッと目が覚めた。
しばらく心臓がドキドキしたままで、目を閉じるとまたその夢の続きを見てしまいそうで、眠い目を必死にあけ続けた。
最近は何故か悪夢を見ても「これは夢だから早く目を覚まさなきゃ!」と、夢であることを自覚している傾向にある。
必死の対策
以前は夢だと自覚していなかったので、目が覚めると「夢で良かったー」とホッとしていたのだが、最近は目が覚めてホッとするのも束の間、すぐに夢の続きが頭の中で描かれないように攻防戦が始まる。
動揺した気持ちを落ち着かせて思考を切り替えるために、私はいつも寝起きの頭で必死に楽しかった記憶をたどるようにしている。
怖い夢
今回の夢の内容は、豪華客船でクルーズ旅行に出発するというときに、巨大なグリズリーベアが客船に乗り込んでしまい、それに気付かずに出港するという始まりだった。
(ということはアラスカ周遊クルーズだろうか・・・フムフム)
海に出た客船は大きな密室。
海の真ん中で逃げ場のない中、人間がクマに襲われて次々と死んでいくホラーストーリーなのだ。
逃げるという苦労
しかも船長やクルーが先に全滅してしまい、船の操作も救助要請もままならないという、悪夢ならではの理不尽さ。
クマは客室のドアも壊してしまうぐらいの巨漢なので、私は残された数人の乗客の一人として、逃げ場のない船上で生きる為のサバイバルの渦中にいるという恐ろしい状況だった。
昔、ダウンタウンの番組でしていた「24時間鬼ごっこ」の逃げる立場の心境と苦労が少しわかった気がした。
苦しい目覚め
最終的に乗客たちの手で寝ているクマを海に落とし(ごめんね)客船から排除するのだが、クマは泳いで近くの港にたどり着き、その港で釣りをしている人たちに背後から近付いていく。
その釣り人たちに危険を知らせたくて叫ぼうとするのだが、声も出ず身体も自由に動かずもがいているという場面で目が覚めた。
頭の切り替え
目が覚めても頭の中で夢の中のストーリーが続いて展開されそうだったので、必死に別の記憶で思考を切り替えようと試みたところ、オーストラリアでサメと一緒に泳いだ思い出がよみがえった。
船で海に出て魚がたくさんいるスポットまで行き、スノーケリングやダイビングをして綺麗な魚や人間に無害なリーフシャークというサメが見れるというアクティビティーに参加した思い出だ。
サメとの遭遇
私がスノーケリング集団から少し遅れて離れてしまったときに、海中で私の身長くらいあるサメがハンティングをしている場面に遭遇し、焦ってその場から逃げた。
リーフシャークは人間を襲わないから大丈夫と聞いていたし、サメがいたのはおそらく水深5メートル以上のところなのだが、実際に眼下で魚をバクバク食べているところを見たら落ち着いて観察してなどいられなかった。
私以外は誰もサメに遭遇できなかったようでみんな随分とガッカリしていたが、私は自分がラッキーだったと喜ぶべきなのかどうかわからない微妙な気持ちだった。
再チャレンジ
海つながりでうっかり怖かった記憶をたどってしまった私は「いけない、いけない、これじゃあ、ますます怖くなる。」と、今度は海の生き物つながりでシロイルカの思い出をよみがえらせた。
本当なら動物からも海からも思考を離した方がよいのだが、寝起きな上に若干パニック気味なのでその程度の対応しかできないのだ。
シロイルカのショー
独身の頃タイの動物園に行ったとき、シロイルカのショーがあったので観覧していると、飼育員が観客の中からショーのお手伝いをしてくれる人を何人か選び始めた。
タイ語はわからなかったが担当の飼育員が観光客向けに英語も少し喋っていたので何とかなりそうだと思い、最後の一人を探し始めたときに大きく手を振ってアピールしてみたら選んでもらえた。
特別なキス
ステージに呼ばれて上がっていくとシロイルカのプールの前に立たされた。
そして顔を前に出してお辞儀をした姿勢で待っていると、シロイルカが水の中から体を伸び上がらせて私の頬にチュッとキスしてくれた。
冷たいものがボニョンと一瞬頬に触れただけの感じだったが、なかなか経験できない特別なことでとても嬉しかった。
記念に動物園のマグネットをプレゼントされ、当時31歳だった私は子供の様にウキウキしながらステージを下りた。
記念撮影
「いいぞ、いいぞ、この調子で楽しいことを思い出そう。」とさらにその動物園でのことを思い出してみた。
タイの動物園ではトラと記念撮影できるのが売りになっていて、鎖に繋がれた大きな2匹のトラが撮影場所に待機していた。
鎖で繋がれたまま台の上でくつろいでいるだけなので、襲い掛かってこないという保証はない状況にみえた。
なかなかの一枚
不安ではあったが、せっかくのチャンスなので挑戦してみた。
トラのいる台の後ろ側に行き、ちょうど2匹のトラの真ん中になる位置に立ちポーズを決めたとき、1匹のトラが急に首を回しながら「ガウゥッ」と小さなあくびの様な声を出した。
「ヒィーッ」と思った瞬間にカメラのシャッターが押されたので、その記念写真には恐怖におののく表情がばっちりと残されている。
危うい疑惑
無事に記念撮影が終わり歩いていると、片腕を失った一人の飼育員を見かけた。
「もしかしてあの人は、ここでトラに片腕をとられてしまったのでは・・・」という考えが一瞬、頭をよぎった。
もし撮影に挑戦する前にその飼育員を見かけていたら、挑戦していなかったかもしれない。
軌道修正
「ああ、いけない、いけない。これではまたネガティブな気持ちになってしまう・・・」と、もっと楽しいことを思い出すのに再度挑戦した。
タイの別の動物園では赤ちゃんのトラがいて、その子を抱っこして記念撮影ができた。
生後3か月の赤ちゃんトラはとても可愛らしく、まるでぬいぐるみのようだった。
座って膝の上に抱き、大きな哺乳瓶でミルクを飲ませながら写真を撮るのだが、小さくてもどっしりとした腕とボリュームのあるムチムチの肉球がとても力強く、やっぱりトラは赤ちゃんのときからトラなんだなと実感した。
再び眠りへ
「可愛かったなー、抱っこできて幸せだったなー。」とウットリしながら、今ならもう目を閉じてもあの怖い夢の続きは見ないだろうと思い、安心した気持ちで再び眠りについた。
怖い夢で起きてからどれくらい時間が経っていたかわからないが、今度は朝までぐっすりと眠れた。
強烈な夢と私の願い
いつもなら朝になって起きる頃には夢の内容なんて忘れているのに、今回の夢は今でも画像としてはっきりと頭の中に残っている。
夢には意味があるといわれたりもするが、とりあえず「今度またワイン体験でエコビレッジにお邪魔するときに、大自然の中でクマに遭遇しませんように・・・」とだけ本気で願っている。