通訳への好奇心
とある国際団体が主催する「医療通訳英語セミナー」に参加しました。
医療関係者がメインでしたが、その他に医療通訳ボランティアに興味がある人も参加可能とのことだったので、どんなものなのか知りたいという好奇心で参加を申し込み、張り切って当日を迎えました。
私と同じような参加者もちらほらといて少しだけ安心しつつも、しばらく英語で話していなかったことと、医療通訳ということで専門用語がとても難しそうで緊張していました。
内容の濃いセミナー
広い会場には60人ほどの参加者がおり、東京から来た講師の先生がとてもテンポよくわかりやすい講義をしてくれました。
今回は実際に外国人ボランティアの方を招いてのロールプレイングも実施したので、実際の緊迫感や難しさも体験でき、とても濃い内容でした。
外国人は日本人と違ってプラスの感情もマイナスの感情もストレートに表現するので、こちらはただでさえ圧倒されるのに、体調が悪い時の外国人は日本人に比べてあからさまに不機嫌なことが多いらしく、患者役の外国人ボランティアの熱演にたじろぎました。
テーマ以外の観察学習
その講師の先生は海外での実務経験が長く、講義の進め方や視点がインターナショナルな感じでとても興味深く面白かったです。
こういうセミナーに参加すると、そのテーマに関する知識だけではなく、人によって違う講義の展開方法と仕切り方がいろいろ見られて、場の作り方の勉強になりました。
医療通訳のルール
医療に関する通訳にはいろんなルールがあり、特に守秘義務がとても重視されるとのことでした。
また、機械的に言われた通りの内容を適切に通訳する為に患者に感情移入することなく、常に冷静でいることが大事となるそうです。
患者が医師に容体を話す際には、言葉が通じるからという理由から患者が必要以上に通訳に頼らない様に、わざと患者の後ろに立ったりして視線を合わせないようにするのだそうです。
必要なスタイル
弱っている人や困っている人を見たら放っておけなくて、つい声を掛けてしまう優しい人だからこそボランティア活動として医療通訳をするのに、優しい人の普段通りのスタイルでは医療通訳のルールにのっとった人助けができないから、医療通訳をする際はクールで機械的な人間を演じなくてはならないとのことで、とても矛盾を感じる難しいシチュエーションだなと思いました。
心優しいボランティアの人たちが医療通訳に必要とされるスタイルに慣れるまで、きっと大変だろうなと思いました。
現実の認識
医療通訳は命にかかわる重要なミッションになるので、完璧な英語のスキルが必要不可欠になると知りました。
医療通訳をする際に大事なのは「ボランティア精神」ではなく「正確な英語スキル」と「冷静さ」だと知って、私にはどちらにおいても到底お役には立てそうもないと痛感しました。
通訳の違い
通訳というものを知るために参加した初めてのセミナーがこの専門的な講習だったことで、張り詰めた空気の中で敷居の高さに戸惑う状況になってしまいましたが、結果として医療専門用語の重要性や、医療通訳と他の類の通訳の違いをきちんと認識することができ、また知識を一つ増やすことができて良かったです。
違いを知り比較することで、自分が携わるなら観光案内やイベント案内などのカジュアルでフレンドリーな通訳ボランティアが合っていそうな気がしました。
今後の課題
医療英語を知らないと、海外で自分の体調に異変が起きた時に病院で助けを求めるにも、容体を正確に伝えて対処してもらうことができず生命の危険に繋がることがよくわかったので、今後の娘の英語学習には身を守る為の言葉として、身体の状態を表す英語を早めに取り入れていこうと思いました。
目的と結果
主催した機関が求めるものは優秀な医療通訳の人材確保と日本の医療従事者の通訳スキルの向上がメインで、私は何人分かの空いた参加枠に特別にお邪魔させて頂いたようなものだったのですが、私としては今回の体験から多くを学ぶことができたので、セミナーに参加させて頂けたことにとても感謝しています。
「学び」と「生き力」の大切さ
人間、時には思い切って飛び込んでみることも必要で、またそれは場数を踏んで度胸をつけるという「生き力」のレベルアップにも繋がるということを学べた貴重な体験でした。
そして、人間は生きている限りいくらでも学べるということも実感できました。
今後も、体当たりで学んでいる自分の背中を実際に見せることで「学び」と「生き力」の大切さを娘に伝えていこうと考えています。