ワイン葡萄栽培のメインイベント
10月の最後の週末に、ワイナリーのワイン葡萄畑で収穫のお手伝いをさせてもらいました。
昨年、大自然の中にある施設を偶然訪れ、素敵な御縁に恵まれて11月からその施設でワイン葡萄の栽培作業に参加させてもらっていました。
1シーズンを通してのメインイベントとなる『収穫』の日に私は残念ながら日程が合わず、今年の『収穫』の体験は諦めていたのですが、ワイン葡萄栽培の指導をしてくれ、その収穫したワイン葡萄を醸造してくれるワイナリーのオーナーから頂いた『収穫』のお手伝いのお声掛けに、喜び勇んで参加させてもらいました。
大自然のキャンバス
早朝に家を出て、午前9時前にワイナリーに集合しました。
目の前に広がるワイン葡萄畑は、まるで秋の実りの美しさを描いた大自然のキャンバスのようで、思わず見とれてしまいました。
オーナーから収穫用のハサミを配られ、その特殊なハサミに私は興味津々でした。
小学生が工作で使うようなサイズのハサミで、持ち手を中心に片方はハサミ、もう片方はピンセットになっていて、手首を返すだけで両方を自在に使える合理的な造りになっていました。
ホームセンターで買えるらしく「マイ・ハサミもカッコイイかも」と思いながら、収穫作業の説明を受けました。
収穫作業の要点
①葡萄棚の一番低い段で、葡萄の木の太い枝になっている『1番なり』の葡萄を収穫し、細い枝やツルになっている葡萄は『2番なり』『3番なり』なのでそのままにしておく。
②葡萄の房を枝から切り離す際は、枝を何センチか房につけた状態で切ると、収穫した葡萄をケースに入れて運ぶときに枝が実に刺さってしまうので、なるべく房に近い位置で切る。
③切り取ったワイン葡萄の房は、まず目でよく見て手で感触をチェックし、しなしなしていたら不作なので捨てる。
④ハリのある良い房は手にのせて更に念入りにチェックをし、萎んでいる実やカビが着いている実、腐っている実は全て取り除き、状態の良い実だけを残した房をケースにどんどん入れていく。
⑤葡萄のケースは重ねるので、葡萄をあまりギリギリの高さまで入れ過ぎると葡萄が潰れて台無しになる為、入れ過ぎるよりは少ないぐらいの量にする。
⑥顔を葡萄に近づけた状態で作業をすると、ピンセットを使っているときに反対側のハサミの刃の部分が顔に刺さる危険があるので、顔を葡萄から離して作業をする。
感動の収穫作業
説明を聞き終え質問をして確認をした後、2人1組になっていよいよ作業を開始しました。
最初はあまりに素晴らしく、宝石のように輝くワイン葡萄を扱うのに、傷つけてしまわないかとドキドキしながら、おっかなびっくり作業をしていました。
葡萄の房の重みを手で感じる度に「こんな素晴らしいワイン葡萄畑で収穫を体験させてもらえるなんて・・・」と感動していました。
葡萄をよく見て、傷んだ実を取り除く作業にとてもやり甲斐を感じながら「あー、すっごい楽しい!すっごい嬉しい!」と何度も声に出して言いながら作業をこなしていきました。
国際交流
ドイツからボランティアとして農業研修に来ている青年がいて、良い機会なので娘に英語での挨拶を促すと、娘は照れながらも
「Hello!My name is ○○.Nice to meet you!」と話しかけていました。
その青年は日本人の子供に突然英語で話しかけられて驚いたようで「えっ?」と娘に言いました。
すると娘は『伝わらなかったのなら、今度こそハッキリとわかるように伝えなくては!』とばかりに
「My,name,is,○○.」と単語を区切って強調し、アピールすべき要点だけを大きい声で伝えていました。
娘は私の鏡・・・?!
その娘の姿は、私が娘に「宿題は終わったの?」と言ったのに対して「えっ?」と言われ、もう一度「しゅ・く・だ・い・は?」と強調して言うときの私の姿にそっくりで「子供って普段の親の行動を見て自然に真似するものなんだなぁ・・・」と思い笑えました。
と同時に『子は親の鏡』という言葉を思い出し「あまり他所でマネされたくないような行動は娘の前でしないように気をつけなくては!」と思いました。
気持ちの良い大自然の中で体験する葡萄の収穫に感激し、少しだけ英会話も楽しめた、贅沢な時間でした。
濃厚な甘み
傷んだワイン葡萄の実を取り除く際に何度か果汁が飛び跳ね、着ていたダウンコートが糖分でベタベタになりました。
私は畑での作業用に購入した汚れの目立たないモスグリーンのダウンコートを着ていたので全く気づかなかったのですが、サイズが小さくなったので作業用にした娘の白いダウンコートには赤紫の斑点模様が描かれていました。
私はそのワイナリーのワインのファンなのですが、ワイン葡萄を試しに幾つか食べてみるとかなり濃厚な甘さで、これほどクオリティーの良い葡萄だから加糖することなくアルコール発酵し、奥深い味わいのワインになるんだなと納得しました。
様々な醸造方法
私が栽培に関わったワイン葡萄は、理想よりも1週間早い収穫となった為、糖度が足りず十分なアルコール発酵が難しく、加糖して醸造されるとのことでした。
昨年、その施設のワイン葡萄でワイナリーのオーナーが醸造したスパークリングワインは『なるべく余計なものを加えない』というトラディショナルなワイン製法で造られ、フレッシュさと品の良さを感じさせる、淡いながらも美味しいワインだと私は感じました。
今年は最新の醸造方法で造るとのことで、ワイナリーのオーナーの腕によってどのような味わいに仕上がるのか、今からとても楽しみです。
ヘルシーランチ
午前中の収穫作業を終え、オーナー宅でランチを頂きました。
大きなおにぎり、豚汁、煮玉子、ポテトサラダ、漬物など、自然の恵みいっぱいの健康的な家庭料理がテーブルの上に並んでいました。
料理の材料の野菜は地元のもののようで、甘みを感じました。
モリモリ食べて、また午後から全力で収穫作業をお手伝いしようと思っていたのですが、午後から雨が降りそうな空模様で、オーナーが収穫したワイン葡萄に水分がつくとワイン葡萄の味が薄まるから、絶対に雨に濡らしたくないという意向だったので、その日の収穫作業は終了となりました。
職人としての信念
残念ではありましたが、そういった頑ななこだわりをもって真剣に取り組むからこそ芸術品のような素晴らしいワイン葡萄が実り、丁寧な作業で味わいの深いワインに仕上げられ、その評判も良いのだと思いました。
オーナーの職人としての信念と凛とした姿勢にはいつも感動し、学ばせて頂いています。
いつもワイナリーにいる2頭の羊は出張中で不在でしたが、オーナー宅には身体が大きくて首や背中の筋肉が隆々としている割に鳴き声がお姫様みたいに可愛らしく、とても人懐っこい甘えん坊さんのオス猫ちゃんがいて、私たちに癒しのおもてなしをしてくれました。
ストレートなセンス
白と黄茶の毛並みのその猫ちゃんの名前は『ニャー太』。
黒い顔の羊が『クロベエ』、白い顔の羊が『シロベエ』、そしてオス猫ちゃんは『ニャー太』という、ワイナリーのオーナーのストレートなセンスが私は好きです。
ニャー太がテーブルの上で残ったお料理を食べてしまいそうだったのでとりあえず外に出そうと抱っこをしたら、そのずっしりとした重さに腰を持っていかれそうになり焦りました。
ウチの猫はメスでしかも老猫ちゃんなので体重が軽いのですが、それにしてもオスとメスとではこんなに違うものかと驚きました。
オス猫ちゃんは喉がゴロゴロ鳴る音もダイナミックでした
ワイン葡萄のジュース
ワイナリーのオーナーから、私たちが収穫作業をした同じ畑の葡萄で作ったという『自家製ぶどうジュース』を私と娘に1本ずつお土産としてもらい、大事に持って帰り、帰宅後すぐにワイングラスに入れて頂きました。
ずっと瓶を立てていたので1杯目はとても澄んだ綺麗なロゼ色で、2杯目はピンクの濁り酒のようで、3杯目はもっと濃い葡萄色の濁り酒のようで、果汁の味わいがどんどん濃くなっていきました。
かなり濃厚な味と甘さなので、ソーダ水で割って飲んでもいいのかなと思いましたが、娘はそのままゴクゴク飲んでいました。
ワインとの未来
このところ体調管理の為、ずっとコーヒーもアルコールも一切飲んでおらず、せっかくなので今年はそのまま11月の健康診断に臨もうと思っていましたが、ワイン葡萄たちに囲まれて過ごしたからか、無性にワインが飲みたくなりました。
さらに娘が『神の雫』というワインの漫画本を気に入っていて、なぜか私の隣で大きな声で音読するので、ますますワインのことを考えてしまい、誘惑に負けてしまいそうでした。
来シーズンは、どんな風にワイン葡萄の栽培やワインと関わることができるのか、それらの経験から何を新たに学び成長できるのか、期待に胸が膨らみます。