『今年の夏』Vol.2


おばあちゃんの『My 田畑』

私の実家がある地域では、昔からその土地に住んでいるお年寄りはそれぞれ『My 田畑』『My 山』などを所有しており、趣味として田畑で農作物を栽培し、家族で美味しく頂くのが一般的でした。
今年の8月で102歳になった私のおばあちゃんも以前は『My 田畑』『My 山』を所有していたので、家の庭だけではなく広い田畑でお米果物野菜を栽培しており、そのお陰で私は小さい頃から季節ごとの美味しい農作物をたくさん食べて育ちました。
特に夏はほとんどご飯を食べずに、大好きなイチゴ、スイカ、メロン、トマト、キュウリ、アスパラガスだけを毎日食べていたような気がします。
「夏と言えばスイカ!」それが私と娘の合言葉ですが、娘は私と違って畑から好きな果物を採ってきていくらでも食べられるという環境で育っていないので、スイカはカットされたパック入りのものを買って食べるのが普通です。

イカな夏

イカ1玉を半分に切ってスプーンでそのまま好きなだけ食べていた私としては、娘にもその醍醐味を味わって欲しく、昨年の夏はそこそこ遠くの八百屋で大きなスイカを買い、1ブロック進むごとに休みながら頑張って家に持ち帰り、娘にダイナミックに食べさせました。
娘は大興奮で、嬉しそうにパクパク食べていたので、私は今年も娘にスイカ豪快に食べさせてあげたいと考え、ある日スーパーで大きなスイカを1玉買いました。
いざ持ち帰ろうとすると、昨年よりもスイカを運ぶのが体力的に辛く、途方に暮れていました。
すると娘が「私が持つよ!」とスイカを抱えて歩き出し、ヨロヨロしながらも家までしっかりと持ち帰ってくれました。
逞しく成長した頼もしい娘の活躍で、今年の夏は大きなスイカ1玉を3回購入し、二人で仲良くお腹いっぱい食べました。


リビング・シアター

私は娘に観せたい昔の映画や、一緒に観たい気になる映画があったので、レンタルショップでDVDを大量に借り、娘には飲み物とポップコーンを、自分にはシャンパンとカナッペを用意し、リビングで寛ぎながらのんびりとDVD鑑賞をしました。
『プリティープリンセス』ティンカーベルなどの女の子らしいディズニー映画、アベンジャーズアントマンなどのアメリカンコミックのヒーロー映画、インディージョーンズなどのアドベンチャー映画などいろいろ観ましたが、娘がダントツに気に入ったのは『チャーリーズエンジェル』でした。
娘は空手を習い始めたこともあり、何でも華麗にこなしてカッコよく戦う強い女性の姿に憧れを抱いたようでした。
私は「イイ映画は、何度観てもおもしろいなぁ・・・」と、懐かしさを感じたりワクワクしながら鑑賞しました。

『空手』の魅力

飽きっぽい性格の娘にしてはめずらしく、4月から始めた空手には休まずに通い、家でも熱心に型の練習をして頑張っています。
空手の先生は若い男性なのですが、道家なので礼儀や心構えについての指導もしっかりとしてくれます。
空手の先生が子供たちに言い聞かせる言葉は、人としての基本を説いた至極当然の大事なことばかりで、大人の私も「心を引き締めなければ!」という気持ちになります。
娘は小学6年生だけあって型の覚えが早く、やる気やセンスの面からみて『空手』という武道がとても合っているように思えます。
7月に受けた初の段級審査では11級に合格し、晴れて白帯から色帯に昇級していました。
空手は習得すると護身術としても役立ちますが、私は日本のマーシャルアートとして自国の文化や自分の特技を表現する際にも役立つ、素晴らしい財産になると思っています。

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マイペースな楽しみ方

半年ぶりに娘とボーリングに行きました。
私は、若い頃よりも体重は10キロ以上増加しているのにパワーは年々減少しており、娘と同じ8ポンドの球を選んでも投げるのが大変です。
娘は空手のセンスは良い方だと思うのですが、球技はどうもダメなようで、ガーター防止のレーンに感謝しながらゲームをしています。
私は腕が落ち、娘はセンスがない為、私たちのスコアは残念な数字になるのですが、それでも私たちはボーリングをするのがけっこう好きです。
お年寄り向けのレクリエーションには『サッカーボーリング』という、水の入ったペットボトルをピンにしてビニールボールを蹴って倒すゲームがあるとインターネットで見ました。
私は、そのゲームがボーリング場で新たに導入されたら、体力的な負担が少ない分、世代に関わらず誰もが一緒に楽しめそうでいいなと思いました。

驚きと慄き

娘と初めて4D映画を鑑賞しました。
私の好きな『ミッションインポッシブル』の最新作が4Dで観られるとのことだったので、前作の『ミッションインポッシブル』のDVDを観てしっかりと復習をしてから映画館に出掛けました。
いつものように飲み物とポップコーンを買ってシアターの入口に行くと、係の人に「危ないので手荷物はロッカーに入れてからの入場になります」と言われました。
「もしかして飲み物とかこぼれたりしますか?」と訊ねると「そうですね、気をつけて下さい。」と言われ、どれ程に激しく座席が動くのかと不安になりながら荷物をロッカーに預けて席に着きました。
シアターが暗くなり、4Dのシュミレーション映像が流れると一番前の列の両端からが出て、座席が激しく動いたのに驚き、娘と二人で「ヒィィィィーッ!」と声をあげ、慄いてしまいました。

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4D映画の迫力

映画は、トム・クルーズがいつも通りカッコよく、連続の大胆なアクション期待を裏切らない迫力でした。
「やっぱりこの映画のシリーズは間違いないよね!最高!」と、スピード感を盛り上げる水しぶき振動匂いを感じながら4D映画を楽しみました。
戦うシーンでは座席の背もたれがボコボコ動き、肩や頭を押されるような衝撃が何度も続き、臨場感はありましたが少し居心地が悪かったです。
娘の様子を伺うと、右腕にLサイズのポップコーンをしっかりと抱え、左手でドリンクホルダーに置いてある飲み物を押さえる必死な様子が可笑しかったです。
4D映画に慣れていないせいか途中で少し酔って疲れたので、映画の後はインド人が経営するレストランでエビのマンゴーソースサラダチキンカレーを食べ、エスニックのスパイススタミナをつけて帰りました。

夏バテ知らず

今年の夏は気温の高い日が続き、昨年よりも更に厳しい暑さに感じられました。
私と娘のパスポート輪ゴムでまとめて置いていたら、暑さで輪ゴムが溶けてパスポートの表紙にベッタリとくっついていました。
「輪ゴムが溶ける程の暑さって・・・」と呆気にとられながらも、「そんな酷な暑さの中、我が家の21歳の老猫ちゃんはよくぞ頑張って生き延びてくれたなぁ・・・本当に良かったなぁ・・・」と、しみじみありがたく思いしました。
私が現在住んでいる地域は湿気が少ない方なので、幸か不幸か私は夏バテすることもなく、野菜をモリモリ食べ、キリッと冷えたビールスパークリングワインもすすみ、職場では元気ハツラツ働きました。
私も娘もこの夏はなぜだか物凄く牛肉が食べたくなり『いきなりステーキ』2週連続で行ったり、近所の焼肉屋に行ったりしました。

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大好きな『牛タン』

私は牛タンも大好きで、以前住んでいた地域では決まったお店に定期的に行っていました。
そのお店は現在住んでいる地域にもあるのですが、たまにはちょっと冒険をして違うお店にも行ってみようと思い、前から気になっていた牛タン屋さんへ行きました。
『味噌味と塩味の牛タンの盛り合わせ定食』『牛タンの盛り合わせ定食』を注文したら、薄い牛タンが出てきました。
私がいつも行くお店の牛タンは分厚くても柔らかくて噛み切れることで有名なのですが、薄い牛タンはペラペラしてるのに噛み切れないので、一口サイズにカットしてもらいました。
『牛タンの盛り合わせ定食』には『芯タン』という分厚くて柔らかい牛タンが少し盛りつけられてました。
娘がほとんど食べていない状態で「もうお腹いっぱい」と言うので、私は娘の分の牛タンと麦飯も食べました。

『牛タン』について

娘はデザートメニューの『ずんだアイスクリーム』を食べ、気に入ったようでした。
ほぼ二人分の牛タンを食べ、満腹で幸せでしたが「やっぱり牛タンは分厚くて柔らかいのに限るなぁ・・・」と思いました。
私がいつも行くお店には薄い牛タンはなく、おそらく他のお店で『芯タン』として普通の牛タンと差をつけた値段で出しているものが、そのお店では普通の定食として出されているから、値段設定が他のお店より高いのだろうと気がつきました。
「牛タンは噛み切れなくて嫌い」とか「高い割に美味しさを感じない」と言う人がいますが、薄くて噛み切れない牛タンを食べればそういう感想を持ったとしても不思議はありません。
本当の牛タンの美味しさは『芯タン』を食べてこそわかるものだと思うので、薄い牛タンを食べ、人々が『牛タン=美味しくない』と思い、牛タンが嫌われるのは悲しいなぁと私は思いました。

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せつない『夏の締め括り』

小学校の視力検査で娘が『要再検査』だったので眼科に行きました。
長時間のパソコン使用のせいか、視線を変えたときや遠くを見るときにピントが合わず視界がぼやけるので、私も受診しました。
私も娘も散瞳剤という瞳孔を開かせる目薬をさされ、薬が効くまでしばらく待機し、お医者さんに瞼をひっくり返されながら念入りな検査を受けた結果、特に問題はなく眼の状態も良いとのことでしたが、私の視界がぼやけるのは「老眼のせいです」と言われました。
待ち時間も含め3時間かけてやっと検査を終えたところに『老眼宣言』をされた40代の私は「ガガーン!」と大きなショックを受け、しょんぼりと肩を落として眼科を後にしました。
夏の太陽が散瞳剤の影響を受けた眼に眩しくささる過酷でせつない帰り道でしたが、途中立ち寄ったカフェのランチが美味しくコスパが感動ものだったので、得した気分でちょっぴり元気が出ました。
そんな今年の夏でした。

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