娘氏の学芸会


主役のオーディション

昨日は娘氏が通う小学校の学芸会でした。
6年生の娘氏には今回が小学校生活最後の学芸会なので、役を決める段階から熱が入っていました。
今回は魔女がテーマのお芝居で3幕に構成されていたので、主役の魔女を演じるのは3人でしたが、娘氏と同じ様に熱が入っていて「主役を演じたい!」と思う生徒が今までより多かったようで、主役の3人枠をかけてのオーディションが行われました。
オーディションは、6年生の児童全員の前でエントリーした生徒たちがそれぞれセリフと演技を披露し、それによって選考されるというもので、けっこう勇気がいることだと私は思いました。
娘氏はオーディションの日まで家で毎日、セリフと演技の練習を一生懸命にしていました。

強引なエール

オーディションの前には空手の段級審査もあり、習って間もない空手の新しい型も練習しなくてはならず忙しそうにしていましたが、好きなことの為にする努力は全く苦にならないらしく、充実している様子でむしろ楽しそうでした。
オーディション当日の朝、少し緊張した様子の娘氏が「あぁ、いよいよ今日だ・・・オーディションに受かるかなぁ・・・」と不安そうに言うので、私は「大丈夫よ!あんなに練習したんだし、あなたは過去にチケットを買って観に来てくれる大勢のお客さんの前で演じた経験もあるんだから!それに何より、あなたはママの一番なんだから何も心配ないの。持っている力を全部出し切って楽しんできなさい!!」と、若干強引なエールで学校に送り出しました。


母親としての葛藤

仕事が終わり家に帰ると、私がドアを開けた瞬間、娘氏が吹っ飛んできて「主役になれたよ!」と、とても嬉しそうに笑顔で報告してくれました。
私もとても嬉しくて「良かったね!ママは、きっとあなたは主役になれるって最初から信じてたよ!」と、娘氏をギュッと抱きしめました。
それから学芸会の日まで、娘は自分が演じる劇をプロが演じた動画を繰り返し観ては研究し、セリフの言い方や演技を練習していました。
演劇のことばかりで勉強が手抜きになりがちだったので「勉強もちゃんとしなさい!」と叱る日もありましたが、「でも、好きこそものの上手なれっていうし、子供のやる気を抑制して才能や心の成長を妨げるようなことはするべきではないよなぁ・・・」と、母親として葛藤しながら娘氏を見守りました。

105%の力

現在の学芸会は平日に生徒たち向けに演じる日が設けられ、土曜日や日曜日は保護者向けに演じます。
生徒たちの前で演じて帰宅した娘氏は、満足そうな笑顔で「今日の私はすごく上手に演じれたよ!105%の力を発揮したよ!」と言っていました。
私は「普通、力を発揮するのって120%とか150%だと思うんだけど、105%って・・・5%増しって何だろう?一昔前の消費税的な数値かな?!」と思いながら「おぉー、スゴイ!さすがだね!じゃあ、明日は120%ぐらいでいってみようか!」と言いました。
小学校の行事や対応のスタイルが少しずつ変わってきており、昨年までは日曜日だった保護者向けの学芸会は土曜日になり、生徒や先生たちは日曜日と月曜日の代休が連休になりました。


学校の変化

日曜日だと会社がお休みの確率が高いので、保護者は学芸会を観にきやすいということはありますが、学芸会はなかなかの大イベントで生徒も先生も大変なので、連休でゆっくり休養をとるのは大事なことだと思いました。
昨年までの私の印象では、娘が通う小学校はイベントの為の取り組み方にが入っており、準備に掛ける時間が多く、劇中のダンスなども高度な振り付けで、どの生徒もリズム感や表現力が磨かれる反面、学習の時間は減ってしまうので学力的な面では「このままで大丈夫なのかなぁ・・・」と少し不安でした。
そういった点を改善する為かどうかはわかりませんが、今年の学芸会は各学年の公演時間が短縮され、発表の為の準備に掛ける時間も少なくなっていました。

必要な環境整備

観覧のルールやシステムも変わっており、今までは公演中でも観覧席への出入りは自由だったのですが、今年からは公演が終わり各学年の生徒が入退場するタイミングでしか会場に入れない入場制限があり、通路の整備もしっかりとされていました。
毎年、我が子の姿を撮影するのに熱心な保護者が多く、マナーに対するクレームが出ていることを考えると環境整備は重要なので、多少の不便を感じたとしても良い変化だと私は思いました。
小学校の行事は生徒たちがメインなのだから、子供たちが学習したことをより良い環境で発表できるのが何よりだと思います。
いよいよ娘氏の学年が公演する時間になり、入場の為の行列に早めに並んだ甲斐があり、私はステージに近い席に座ることができました。


集中できた観劇

娘氏が「今年は動画撮影しなくていいから、私の演技をしっかりと観てね!」と言ってくれたので、私は『iPadの重さで腕がプルプル震えてしんどくなる刑』から解放され、存分に観劇に集中しました。
6年生ともなるとみんなしっかりしていて、大きな声で堂々と演じていました。
1幕目の主役は聞きやすいスピードでハキハキとセリフを言うのが上手で、自己紹介をする始まりの場面にピッタリでした。
娘氏の出番は、悪い魔女として大活躍する2幕目だったのですが、いつもフワッとしている鈍くさい娘氏がそのシーンを演じるのは意外でした。
娘氏は以前、プロが演出する演劇出演させてもらった際に学んだ発声練習などが役立ち、物怖じする様子もなくきちんとセリフを言えていました。

娘氏の演技力

ステージ上で演じる娘氏の表情は、悪いことを企んで楽しんでいるズル賢い魔女そのもので、子供が役で演じている感じではなく、意地の悪い大人が実際に酷いことをするときに出す負のオーラ漂う低い声だったので驚きました。
魔法の呪文を「ポンピラパーン」と唱えるシーンでは、娘氏が家でその言葉を何度も繰り返していたのを思い出し「あぁ、あれは劇のセリフの練習だったんだ・・・そうとも知らず、またおかしなこと言ってふざけてるよ、しょうもない!とか思ってごめんね、娘氏よ・・・」と心の中で謝罪しました。
2幕目は、最初は悪いことをしていた魔女が人間の優しさや思いやりに触れ、そんな心を理解できずに戸惑いながらも少しずつ変わっていく場面で、娘氏の演技力に母親として感動し、じっくりと観させてもらいました。


画質が悪くてスミマセン(^^; その1

光る個性とみんなの力

娘氏の出番の最後の方には歌うシーンがあり、凛とした表情で歌う娘氏を観て、人前で自信を持って大きな声で歌えるその度胸誇らしく、また羨ましく思いました。
3幕目に変わり、今度は高い声で子供らしく明るい演技をする主役に変わりました。
娘氏との声のトーンや雰囲気のギャップの大きさが面白くて「これもまた小学校の学芸会の醍醐味」と思いながら劇のクライマックスを楽しみました。
どの幕の主役もオーディションを勝ち抜いただけあって、みんなそれぞれ人を惹きつける演技だったなぁと思いました。
また、いろんな役がある中で、みんな役になりきって演劇を盛り上げ、子供たちそれぞれの個性が光っており「演劇って関わる全ての人で作られているんだなぁ・・・」としみじみ感じました。

感謝の気持ち

それはきっと大人社会の組織にも同じことがいえ、輝かしい実績があるのは個人のスタンドプレイの賜物ではなく、その仕事に関わる全ての人の力があってこその実績なのだから、成功したからと得意になるのではなく、成功したときこそ関わった人たちへの感謝を忘れてはいけないんだなぁ・・・思いました。
それを繰り返し成長する人は、口先だけではない本物『実るほど首を垂れる稲穂』になるのでしょう。
演技を終え『150%の力』を出し切った娘氏を私は200%褒め、先生方にお礼の言葉を伝えて小学校を後にしました。
私は、小学校の先生たちは激務で大変だと常々思っており、娘のお世話をして頂けることをありがたく思っています。
もちろん、幼稚園でお世話になった先生方に対しても同じ気持ちです。


画質が悪くてスミマセン(^^; その2

大事なソーシャルワーカー

この先どんどん文明が進んでAIが社会で当たり前に活躍する時代がくるとしても、ソーシャルワークにおいてはやはり人間の感性と心がなければ担うことはできません。
教諭は正にソーシャルワーカーそのものであり、子供の成長において必要な存在です。
働き方改革という言葉のもと、様々な組織が取り組みを始めていますが、子供たちを導いてくれる教諭の働き方も改革によりどんどん改善されることを私は願います。
環境やスタイルが今までと変われば誰しも違和感を持つのは当たり前のことですが、私は『変化=悪いこと』と捉えずに、保護者として柔軟に教諭の働き方の改善理解と協力を示していきたいと思います。

幼稚園や小学校のどのイベントでも、娘氏の雄姿や成長をみることができているのは、先生方の並々ならぬ努力のお陰です。
本当に有難うございました。