初めてのイベント運営


転職の結果

約2年半、オフィスワークの実践修行をさせてもらった以前の職場を離れ、6月から新たに福祉関係の職場で勤務を開始してから1か月半程が経ちました。
今の職場は、障がいのある方々が社会との繋がりを持ちながら健康的な生活を送れるようにスポーツ活動を推進し、大小様々な大会を開催し発表の場を作っている公益性の高い事業を行っており、一番大きな大会は4年に1度開催される夏季大会冬季大会です。
私は、来年開催予定の国内冬季大会の事務局で仕事をしています。
6月初旬には、地元の大きなお祭りの最終日に行われたファイナルパレードに参加し、お揃いのTシャツやはっぴを着て180人程で手旗を振りながら来年の冬季大会のPRをして練り歩き、いつもは観客側であった自分が大舞台で観られる側になるという貴重な経験をさせてもらいました。

『聖火』のイベント

7月初旬には、来年の冬季大会のシンボルともなる『聖火』を頂く採火式と、『聖火』をランタンに入れ各地区に分ける文火式と、『聖火』を点火したトーチを手に冬季大会に出場する選手や大会運営を支援し協力してくれるサポーターが一緒に走るトーチランが開催されました。
6月のPRパレードに関しては、私はまだ勤務し始めたばかりだったので、準備の仕事は当日使用するTシャツやはっぴの数量確認参加者データの最終とりまとめぐらいしか関わりませんでしたが、今回の採火式・分火式・トーチランに関してはご案内の段階から関わることができました。
神聖な場所で執り行われる式典ということもあり、ご案内するのは自治体や各福祉関係組織のトップの方々で、案内状を送付した後はそれぞれの秘書の方々とやり取りを進めました。

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親切なご案内

今回のような式典に参加されるのはほとんどの方が初めてだったので、どのような服装でどんな風に参加するものなのか、どんな流れでそれらの行事が進んで行くのかなど全くわからず、たくさんの問い合わせがあり密に対応させて頂くうちに、私はご案内する際の要点や要領がわかってきました。
組織のトップの方々を来賓としてお招きする際は特に、組織により決まり事や体裁に関わる問題などもあるので、お招きする側には細やかな配慮が必要だと知りました。
それなりの立場の方にお越し頂くのであれば、招く側は『普段の感覚』とは違う注意や気遣いも視野に入れた方が良く、それを「細かくて面倒だ」と思ってしまうと失礼な対応として表れてしまう場合もあるので、参加して頂きたくてご案内する以上はご案内する側が相手の流儀に合わせて歩み寄るのが親切でもあり大事なことなのかなと思いました。

イベント準備

当日は久しぶりの快晴で、気持ちの良いイベント日和となりました。
私は式典が行われる神宮に集合時間の30分前に到着し、手を清めお参りをして広い敷地内を散策してみました。
集合場所に行くともう既に運営スタッフが何人か集まっていて、初めて会う人との挨拶も早々に済ませ、すぐに準備に取り掛かりました。
お客様をご案内する会場の整備をし、ミーティングで各自の役割確認をしてから、屋外で開催される式典の会場に行きリハーサルを行いました。
来賓の代役としてステージに上がり立ち位置決めに協力し、一連の動きを通して段取りの最終確認をしました。
陽射しが強く、気温がどんどん上昇する中での屋外作業は体力を奪われ大変でしたが、まるで学生時代に戻って文化祭の準備をしているような楽しさでテンションが上がり、ずっとワクワクしながら作業をしていました。

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お仕事開始

30分程で昼食をとり、またすぐに準備作業に戻りました。
あっという間に時間が過ぎ、受付にお客様が来始めると今度は控室への案内が始まり、お手伝いに来てくれたボランティアの人たちと一緒に仕事を進めました。
スタッフは失敗が無いようにと細心の注意を払い真剣な表情なのですが、お手伝いのボランティアの人たちは笑顔で楽しみながら参加してくれていたので、その明るい表情につられて私の緊張は吹っ飛びました。
控室にお客様が揃ったので、皆様を手水舎にご案内し手を清めて頂いてから最初の式典が行われる神殿へと誘導しました。
式典前のご案内がスムーズだったこともあり、滞りなく無事に採火式が終わると予定の時間よりかなり早くお客様を再び控室にご案内することになりましたが、暑い日だったので水分補給の休憩時間がたっぷりとれてかえって良かったと思いました。

盛大なイベント

採火式神殿での厳かな式典正装での参加でしたが、その後の分火式とトーチランはお揃いのTシャツやはっぴに着替えての参加となるので、控室で着替え終わったお客様を分火式の会場へご案内しました。
ステージも座席も日当たりが良すぎるくらいだった為、ご高齢の来賓の方々が大丈夫か心配でしたが、ゲストの有名人アスリートたちの挨拶で会場は盛り上がり、テンポの良い進行で順調に式典は進んで行きました。
トーチランではゲストの有名アスリートと、大会へ出場する選手サポーター子供たちが点火されたトーチを持って神宮敷地内の500メートル程のコースを5チームに分かれて順番に一周ずつ走りました。
全チームが走り終わるまで45分ぐらいは掛かったと思いますが、待機時間や走り終わってからのインタビューが軽快に続き、とても華やかで盛大なイベントとなりました。

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チャンス到来

ゲストの有名アスリートの中でも特に注目を集めていたのは地元の元プロ野球選手で、その人気と人望が厚さを改めて感じました。
2011年の東日本大震災で被災し、私と娘がこの地域に自主避難してきた頃そのプロ野球選手現役で、地元のプロ野球チームで大活躍中でした。
そして、震災で被災した人たちが少しでも元気を出して笑顔になるようにと野球観戦に招待してくれていて、私と娘も何度か観戦させて頂き、特別に記念撮影もさせて頂いていました。
もちろんその時も感謝の気持ちをお伝えしましたが、私は「いつかもう一度あの時の御礼を言えたらなぁ・・・」と常々思っていました。
そして今回のイベントで運良く、そのプロ野球選手の方と再び会えたので「今こそ感謝の気持ちをもう一度伝えよう!」と、トーチランで待機中のタイミングを見てお話をさせて頂きました。

優しい激励

私は怪しまれないように『イベント関係者アピール』をしながら、そのプロ野球選手の近くに行き「実は、東日本大震災でこちらに自主避難してきた頃、ご厚意で何度か野球観戦にご招待いただき、娘と一緒に楽しませていただいて記念撮影もさせていただいておりました。その節は本当にありがとうございました。今はこの冬季大会実行委員会に入り、こうしてまたご一緒させて頂けることを心より嬉しく思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。」と挨拶をしました。
そのプロ野球選手「そうだったんですか!いろいろと大変でしたね。こちらこそよろしくお願いします。応援してるので頑張って下さい!」優しい笑顔激励してくれました。
私はその言葉を胸に「絶対にこの大会が成功するように最後まで頑張ろう!!(炎)」と更に強く心に決めました。

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充実感と満足感

その日の行事が全て終わり、お客様のお見送りや片付けを済ませて家に帰って「なんか足が痛痒いなぁ・・・」と靴下を脱ぐと、右足の親指と人差し指の間に今まで見たこともない大きなマメができていました。
「スニーカーを履いていたとはいえ、広い神宮の敷地内をいっぱい動き回った一日だったからなぁ・・・」と納得し、頑張った自分を誇りに思いながら、よく冷えた美味しいビールを飲みました。
「こんなに身体をフルに使って楽しんだ労働は、若い頃、オーストラリアで動物園のボランティアとして働いたときと、レース犬のトレーナーアシスタントをしてたとき以来だなぁ・・・」と、15年以上前の生活を懐かしく思いながらベッドに入ると、充実感と満足感からあっという間に深い眠りに引きこまれ、珍しく朝まで目を覚ますことなく眠り続けました。

必然的なタイミング

私は、人生で起こるいろんな事柄のタイミングはただの偶然ではなく常に必然で、運命なのだと思っています。
今回のこの転職のタイミングも、本当なら私は6月末までは以前の職場で働いて7月から今の職場で働く予定だったのですが、以前の職場の部長の取り計らいもあり6月から今の職場で働くことになりました。
1か月早いスタートのお陰で、6月初旬にはPRパレードに参加することができ、7月初旬には聖火の採火式・分火式・トーチランという、普通に生活していたらきっと知る機会がなかった特別なイベントに運営側として参加し、様々な機関の方と関わり今まで知らなかったことを学ぶことができました。
また、今の仕事を始めたからこそ、以前お世話になったプロ野球選手に御礼の気持ちを伝えることができました。
私にとっては来るべくして来た大事なタイミングだったのだと思います。

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画期的な運営術

冬季大会に関わるイベントの運営は主に東京本部のスタッフがしています。
東京本部のスタッフは、過去に大小様々な大会開催に携わってきているので仕切り方が的確で、普段は電話やメールでのやり取りだけで私と実際に会うのはイベント当日が初めてというスタッフが多かったのですが、常に的を射たわかりやすい指示を出してもらえたので息の合った作業がテキパキとできて、とても気持ち良かったです。
今回のイベントの為に同じ組織の遠方の事務局とのやり取りもほとんどメールと電話だけで取りまとめ、冬季大会本番に向けて各競技の準備作業に関する指示や確認事項も同じ様に手際よく進めている運営体制が画期的で、世界規模で仕事をしている人たちの距離をものともしない運営方法はさすがだなぁ・・・と感動し、私もその運営術をこの学ぶべきタイミングでしっかり学ぼうと思っています。