幸運な転機
私は2020年9月から『福祉系資格』を取得する為に学校に通い始めました。
私には「人生で一度は自分で事業を展開してみたい」という夢があります。
自分がしたいこと、できることは何だろうと模索しながらいろいろな仕事を経験してスキルを磨いていた頃、通勤途中に目の不自由な方と一緒になる機会が何度かありました。
電車の乗降や歩行のお手伝いをしている内に「私が展開したいのは福祉に関連する事業なんじゃないか」と感じるようになり、福祉系の仕事に挑戦してみたいと考えていると、幸運な転機に恵まれました。
障がいのある方々が社会と繋がりながら健康的な生活を送る為のスポーツ活動を推進し、スポーツイベントを開催して発表の場を作っている公益性の高い社会福祉事業所で働けることになったのです。
新たな気づき
その事業の最も大きなイベントは夏季と冬季の国内大会開催で、私は冬季大会の開催準備に携わり、大規模な大会運営ならではのPRパレードや日本全国から参加する選手団の代表を集めての現地説明会を行うなど、初めての業務に刺激を感じながら仕事をしていました。
ですが、いよいよ大会本番まであと数日というときに、新型コロナウイルスの影響により大会開催の中止が決定され、それに伴い事務所存続の話も立ち消えとなり、残念ながら私はその事業所を後にすることになりました。
福祉関係の仕事に実際に関わってみて初めて、福祉の仕事がいかに幅広く多様であるかということ、仕事によって必要な資格が違うということを知り、私は「福祉関係の仕事がしたい」と言いながらほとんど福祉について知らなかったのだと気づきました。
勉強の日々
口先や理想だけではなく、実際に助けを必要としている人と関わり『福祉の精神』を知った上で自分に向き合うことや、自分がどこまでできるのかを知る必要があると感じた私は、福祉について勉強し『福祉系資格』を取得しようと決め、2020年9月から学校に通うことにしました。
平日の朝9時から夕方5時ぐらいまで、1コマ1時間の授業を6時間びっしり受け、6ヶ月間で3つの資格を取得するコースで、本来なら2年かけて学ぶ分厚い教科書6冊分をその期間内で学び終えるというハードな学習内容でした。
筆記試験、実技試験、企業実習を立て続けに何度もこなしていくには自主学習が欠かせず、10日間の冬休みは年末年始のイベントも大掃除も全て返上し受験生並みにひたすら勉強をしていました。
価値観と尊厳
人体の機能、老化による症状と予防策、人権や尊厳に関する法律、福祉制度、コミュニケーション術、医療的なケアとそれに関する法律など学習課題は盛り沢山でどれも興味深く、生きる上で為になるものでした。
人間の尊厳に関する授業では「価値観は人それぞれで、全く同じ人はいない。その人の価値観を尊重することこそが、その人の尊厳を守ることである。」と何度も教わりました。
たとえ親切心でしている行為でも、それが相手にとって価値観にそぐわない行為であれば迷惑行為の押し付けとなってしまい余計なお世話でしかなくなるので、多くの可能性を考えられない狭い視野、相手を知ろうとせずに先入観で決めつけて、同年代の人間なら全員同じだろうと思い込む固定観念を持っていては相手の尊厳を守ることはできないと教わる度に、全くその通りだと深く頷いていました。
知って欲しいこと
「一人で静かに過ごしている人は寂しいに違いない、賑やかに遊んでいる人たちの仲間に入りたくて羨ましがっているはずだ。」とか「物がたまっている状態よりも、どんどん捨てて片付けた方がスッキリして心地良いに決まってる。」など、福祉のことに限らず『思い込みの落とし穴』は身近な日常にありがちなように思えます。
人間関係でも物でも何でも、必要か不要かの線引きは人それぞれの価値観によって違うのです。
世の中には自分が思いつかないようないろんな考え方や受け止め方があり、自分の知り得るほんの数パターンだけではないのだということを知るだけでも、人間の柔軟性や思慮深さの成長は大きく変わると思うので、私はぜひとも子供から大人まで老若男女問わず多くの人に『人間の尊厳』について知って欲しいと強く感じました。
(人間の尊厳について、私なりに学んで理解したことを記事にして紹介していきたいと思っています。)
資格取得と卒業
医療的なケアは人の命にかかわる医療行為なので、筆記試験は9割以上正解で合格という厳しい基準でした。
筆記試験をクリアしないと実技試験を受けられず資格の取得ができないので、授業内容と教科書を参考に更に掘り下げて必死に勉強し、無事に筆記試験と実技試験に合格することができました。
そして私は目標だった3つの福祉系資格を取得して、この3月に学校を卒業しました。
今回の学生生活を振り返ると、あっという間だったと感じます。
まさか自分が40代後半で学生として新しい事を学ぶなんて考えもしていなかったので、なかなか難しくて量の多い学習と定期的に行われるテストをこなして、きちんと目標通り資格を取得できたことに驚いてもいます。
勉強にだけ専念できた6か月間の学生生活は、時間に追われてばかりでゆっくりする暇はありませんでしたが、本当に贅沢な時間だったと思います。
『人生のホリデイ』
私は30歳前後の頃、単身でオーストラリアに1年程滞在し好きなことをして過ごし、その後ヨーロッパやアジアに何度か旅行をして『人生のホリデイ』を満喫ました。
自分が働いて貯めたお金で誰に遠慮することなく、したいことを自由に楽しめた最高の時間でした。
周りが口を揃えて反対する中、会社を辞めキャリアを捨て、オーストラリアの動物園でボランティアとして飼育員のお手伝いをしたり、豪華な客船で地中海クルーズ旅行をしたりするなど大胆な選択をした私は、行く先々で出逢いやチャンスに恵まれました。
そうして多くの貴重な経験をすることができた思い出は確実に私の自信となり、ずっと自分の意思や決断を信じる強さと前向きな発想を与え続けてくれています。
今回の学生生活も、自分が学びたいことに没頭することができたことを考えると、とても充実した2度目の『人生のホリデイ』だったといえ、新たな経験と知識は更に自信と強さを与えてくれる気がします。
スタートの春
私が通っていた学校にはキャリアコンサルタントの先生がおり、定期的な面談をしてもらえました。
私は卒業する前にその先生から情報やアドバイスをいただき、取得した資格を活かして働ける会社に就職を決めました。
学校でしっかり学んで知識を身につけた次は、現場での実践を通して現実的な技術を学ぶ番です。
現場で3年間の勤務実績を重ねると国家試験の受験資格が得られるので、それも考慮しながら仕事をしていくつもりです。
今まで以上に体力勝負になるので、授業で習った人体の機能や老化による症状と予防策を踏まえ、健康的な生活を心掛けたいと思います。
新たなスタートとなるこの春は、生活スタイルも大きく変化してとても慌ただしくなりそうですが、『自分の可能性』と『福祉の精神』を知る為にもとにかく前進あるのみです。
春は様々な変化の季節、皆様にも嬉しい変化が訪れますように (*^-^*)