ワイン体験レポート「11月」 Vol.2

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ワイナリー訪問

ワイン葡萄の剪定作業を終え、エコビレッジに剪定の手ほどきをしてくれている近くのワイナリーを訪問させてもらった。
広い敷地一杯にワイン葡萄の棚が美しく整列しており、アート作品のようだった。

ワイン葡萄の行方

こちらではたくさんのワイン葡萄を造っているのだが、そのほとんどはワイン葡萄として国内の他のワイナリーに出荷され、自分の所で作るワインの量は少なめとのことだった。
この地域のワイン葡萄は品質の良いワイン原料としてとても人気なので、この土地でワインになるよりも他所に出荷されてワインになる方が多いのだそうだ。

貴重なワイン

つまり、この地域のワイン葡萄を使ってこの地域で造られるワインというのは量が限られており、その貴重なワインは大手のホテル内のレストランなどに卸されていたりと、一般で購入するのはなかなか難しいということがわかった。

国産ワイン

「国産ワイン」と聞くと日本の葡萄で造られた純日本製のワインというイメージがあるが、調べたところ原料は外国から輸入したワイン葡萄を使って造られている割合の方がはるかに高く、どこのワイン葡萄を使っても国内で造られたワインは全て「国産ワイン」となるそうだ。
そこで、日本のワイン葡萄を使って造られた純日本製のワインを「日本産ワイン」という呼び方にして区別しようという動きが業界の一部ではあるらしい。

真逆の事実

ということは、純日本製の地元ワインに関しては地産地消的な消費は難しく、むしろ「地元にも消費するチャンスをもっとください」という感じになり、私の構想していたビジネスプランのイメージとは真逆の話になる。

不屈の精神

だがしかし、無知ゆえに真逆の現実を突きつけられているこの現状にも私は全くひるまない。(キリッ!)
ワインが好きで、若い頃は「ワイナリーに住み込みで働きたい」という夢を抱いていたので、せっかくワイン葡萄に触れながら勉強ができるチャンスを手にした今、ビジネスの為の勉強を抜きに考えても私にとって今後の学びや体験へのワクワク感は何も変わらないのだ。

「好き」という情熱

本当に自分が興味を持っている好きな事柄に関しては、かけた時間や労力が無駄になることなどないのだと私は思う。
「好きこそものの上手なれ」「好きだからこそ続けられる」というのは、こういうことなのかもしれない。

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ワインの部屋

ワイナリーの建物の素敵な木造の引き戸を開けて中に入ると、暖房で室温が暖かく保たれており、銀色のタンクが並んでいた。
私が今まで訪れた海外のワイナリーとは雰囲気が違い、明るい室内が印象的だった。

タンクのワイン

全てのタンクにロゼワインが仕込んであるとのことで、タンクのワインをテイスティンググラスで試飲させてもらえることになった。
薄く綺麗なピンク色で、発泡している状態だった。

ワインの香り

飲む前に軽くグラスから香りをとると、シャンパンやスパークリングワイン独特の香りがした。
私はずっとその香りをコルクの香りだと思っていて、なぜタンクに詰められている状態のワインからコルクの香りがするのかと尋ねたところ、それは酵母の香りだと教わった。
酵母の香りがこんなにハッキリとしたものだとは知らず、勉強になった。

味わい

発酵途中のワインの泡は程よい弾け具合で、飲みやすい状態だった。
ほんのりとした桜色のイメージにピッタリの、果実味が淡く感じられるこのワインがしっかりと発酵してフラットワインになる頃には、どのような香りと味わいに変わるのかとても楽しみに思えた。
地元の小売店でも販売予定とのことだったが本数が限られている為、タイミング良く購入しなくてはならず、私の中の非常に大きな要チェック事項である。

ロゼワインへの想い

そのワイナリーのワインは3月に一般発売されるのだが、なぜ秋ではなく春なのかと尋ねると、地域によっては桜が咲き始めロゼワインの色がよく映える季節、また別れの多い時期でもある3月に、転勤で遠くへ行ってしまう同僚や仲間と一緒に「何だよ遠くに行っちゃうのかよー!」別れを惜しみ、心を通わせながら飲み交わして欲しいワインだからだそうだ。

春色の輝き

オーナーの人柄と熱い想いが伝わるお話と共に頂くワインは、美味しさもより一層だった。
グラスの中にそのような情熱で造られた素敵なワインが入っていると思うと、すぐに飲み干してしまうのが何だかもったいなくて、少しの間グラスの中でキラキラしているロゼワインを鑑賞していた。

共通の話題

しばし私がグラスのワインにうっとりしていると、同行していた娘がおもむろに「私、ワインの本を読んでるんだ。」と若干のどや顔でオーナーに話し始めた。
「えー、どんな本?」と聞かれると神の雫と、今度は更なるどや顔で答えた。
「おー、知ってる知ってる。何巻まで読んだの?」「3巻かな」「あれ面白いよねー。」「まだ何冊も家にあるから、これからも読むよ。」「おー、読んで読んで。」と、年齢差を越えてワインに関する話題で盛り上がっている様子がとても微笑ましかった。

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畑と羊

ワイン葡萄畑とは少し離れたところに柵で囲まれた畑があり、中に羊が2匹いたので会いに行った。
オーナーの奥様が羊を呼んでくれて、娘はモフモフの体を撫でさせてもらっていた。
顔が白い子と黒い子がいて、その名も「しろべえ」と「くろべえ」。

こちらのオーナー夫妻のセンスが、私は大好きだ。

違いがわかる羊

「しろべえ」と「くろべえ」は畑の雑草や不要な葉っぱを食べてくれるということでこちらに迎えられたのだが、葉っぱじゃないものまでパクパクと食べてしまうので今は違う畑に移されているのだそうだ。
葉っぱよりも甘みのある美味しいものに気づくとは、違いがわかるグルメな羊である。

新たな試み

次回の私の体験予定は、雪が完全に消えた5月にワイン葡萄の棚造り作業となる。
その際に、新しく白葡萄の苗木も植樹して育てることになり、楽しみがまた増えた。

「しろべえ」と「くろべえ」がワイン葡萄も食べてしまうかという実験エコビレッジでしようという案も出ているようで、動物好きの私たち親子はとても楽しみにしている。
来年の春が待ち遠しい。

エコビレッジ情報 
http://ecovillage.greenwebs.net/
 

Vol.3に続く