海外旅行<温泉旅行
若い頃の私は国内旅行派でした。
社会人になり、友人や同僚たちが海外旅行デビューをして、有名なリゾート地を訪れて観光し、免税店でブランドのバッグなどを購入するというお約束の旅行を楽しんでいても、私は全く海外旅行に興味がありませんでした。
(ブランド品は、品質の良さに惚れ込んで愛用していますが・・・)
私にとっては、大好きなおばあちゃんと一緒にあまり実家から遠くないエリアの温泉を巡る方が有意義で、洒落た温泉旅館に宿泊して素敵な露天風呂に浸かり、その土地の美味しいものを頂いてのんびり過ごすのが幸せでした。
30歳前の思いつき
20代後半になり「もうすぐ30歳になるのに、自分の国しか知らないというのも、大人としての経験値を考えるとなぁ・・・」と思い、一度ぐらい海外に行っておこうと思いました。
私は動物が大好きなので、その国独特の動物がたくさんいるオーストラリアを行き先に選び、さっそく計画を立て始めました。
一般的なツアーに参加するという手もありましたが、せっかく初めての海外旅行に行くのだから、うんと楽しめる合理的なプランにしようと思いました。
楽しむことにかけてはいくらでもアタマと労力を使えるタイプなので、なかなかのプランが完成しました。
条件付きの長期休暇
あれこれ詰め込んだ結果、オーストラリアに2か月半も滞在するという盛りだくさんなプランとなりました。
そんなに長いお休みをもらうのは難しいだろうと思い、上司に「実は2か月半ほどオーストラリアに行きたいのですが、長期休暇は難しいと思うので会社を辞めて行くしかないと考えています。」と話したところ、意外にもお休みをもらえることになりました。
「ただし、過去にそういう長期休暇の例はない為、周りからの当たりが強くなることが予想されるが、そういった状況は自分で対処しながらきちんと業務を続けること。」という条件付きでしたが、百貨店でスタッフも来店客もほぼ女性だけという『大奥』のような特殊で厳しい環境のフロアに身を置き、何年も鍛えられてきた私には全く問題ありませんでした。
実例を目に学んだこと
その『大奥』のような特別な環境では常に気が抜けなかった分、本当にいろんなことを学び、とても逞しく成長させてもらったと思います。
仕事のことだけではなく、本音と建て前の見極め方、相手が自分をどう見ているかの読み取り方、タイプ別の対応方法、感情を抑えることと敢えて相手に見せることの使い分け方、その他にも多くのことを、大ベテランの大御所から若手まで、良くも悪くも多くの人の様々な実例を目にしながらしっかりと勉強させてもらいました。
結果、人生経験を積んで自分より長く生きている人には敬意を払い、学ばせてもらう姿勢でいるべきだと、常に心して生きています。
いざというときに役に立つのは、試験に合格する能力やエリートな学歴・肩書きよりも、経験値と度胸なんだと理解しました。
あの特別な場所で得た知識と経験値は、今もずっと私を助け続けてくれていると思います。
オリジナルのスタイル
オーストラリアでは、まず1か月間、ブリスベンで英語の個人教師の家にホームステイをし、ホストファミリーとしてお世話をしてもらいながら日常英会話の実践練習をしました。
机に向かってのレッスンではなく、料理やお出掛けなどでコミュニケーションをとりながら学ぶスタイルを提案しました。
クイーンズランド州方面に強いホームステイ斡旋会社だったのでブリスベンに滞在が決まったのですが、当たりはずれの激しい中とても良いホストファミリーに恵まれて私はラッキーでした。
日本でも英語教師の経験があるイギリス出身のご夫婦で、英語の発音に訛りがなく、お陰で私は「英語の発音が綺麗だ」と今もたまに褒めてもらえることがあります。
カルチャーショック
初めて訪れた海外は、景観も生活様式も環境も、全てが刺激的でした。
私はオーストラリアでの滞在を充実させたくて、日本人らしいキッチリとしたスケジュールを立て、予定通りに毎日を過ごしたかったのですが、ざっくりとしているオーストラリア人の感覚では、何でも規則正しく行動する日本人が理解できないようで、ホストマザーに「この機会にオーストラリア流の過ごし方をしてみたらどう?!人生にはフレキシブルさが大事だし、その方が楽しめるものよ。」と言われました。
行きたい観光スポットには全て予定通りに行きつつも、予定を入れないでその日の思いつきで行動する日を作ってみたり、憂鬱な毎夕のサンダーストーム(雷雨)を逆手にとって、テラスで淡い紫色の空に走る稲光を眺めながらワインを飲んだりと、上手く力を抜くことができている自分が段々と気に入ってきました。
『フレキシブルさ』を上手に満喫することが、私にとって最大のカルチャーショックだったと思います。
交流と出会い
ブリスベンの後は1か月半ほどケアンズでホームステイをし、1か月間だけ現地の語学学校に通いました。
勉強目的ではなく、たくさんの人と英語を使った交流を楽しむ為で、アジアやヨーロッパから来ている多くの生徒たちと実際に会話をして一緒に過ごすことで多様な文化を知ることができました。
ほとんどの生徒は20歳前後でしたが、私と同じような目的で通学しているバケーション中の社会人もいて、ヨーロッパから来ている人が多かったです。
私はオーストリア人の社会人女性と仲良くなり、よく行動を共にしていました。
帰国してからもずっと連絡を取り続け、数年後、オーストリアのウィーンに住む彼女の所へ遊びに行き、1か月半ぐらい滞在させてもらい、そこを拠点としてヨーロッパの何か国かを巡りました。
とても素晴らしい出会いに感謝でした。
夏のクリスマス
ケアンズでの滞在期間はクリスマスのシーズンだったので、私は南半球の『夏のクリスマス』を初めて体験しました。
私のホストファミリーの『夏のクリスマス』のメイン料理はコールドディッシュ(冷たい料理)で、エビのカクテルでした。
コース料理の前菜で小さなグラスに盛られているようなものではなく、ガラスの大きなボウルにエビが山盛りになっていて、何種類かのカクテルソースが用意してありました。
エビが大好物な私がお腹いっぱい食べてもなかなか減らないそのエビの量に圧巻でした。
他にはハムやチーズ、フルーツやゼリーなど、全体的に涼しげなクリスマスのメニューでした。
ミクスチュアな文化
ケアンズの語学学校の職員で、フィリピンから移住してきた女性と知り合い、招待されたクリスマスディナーではホットディッシュ(温かい料理)が振舞われ、ローストチキンなどクリスマスの定番料理を頂きました。
雪はなくても住宅街のクリスマスライトは北半球と同じで、サンタや雪だるまなどのキラキラしたイルミネーションが綺麗でした。
二度目のオーストラリア滞在の際にパースで過ごした『夏のクリスマス』では、ロブスターのアメリケーヌソース掛けがメインディッシュで、しかもそのロブスターは深く美しい青色で、熱湯に入れると赤になるという初めて見る種類でした。オーストラリアは国が大きいうえに、いろんな国から人々が移住してきているので、料理の文化も食材もかなり珍しくて面白いなぁと思いました。
本当に必要な力
初めての海外旅行をきっかけに、私は海外にとても興味を持ち、世界の美しい場所をなるべく多く訪れたいと思いました。
そして、まだまだ見足りないオーストラリアに、今度はワーキングホリデイビザを利用し1年間滞在することにして、その計画を実行するまで1年かけて語学力向上なども含め、諸々の準備をしました。
英語検定の資格は学生時代に取得していましたが、生活に必要な実用英会話とテキストに出てくる英文はまた別で、オンタイムで会話のテンポに遅れずに内容を理解し、自分の考えを英文にして口に出すという、アタマの回転の強化訓練が必要でした。
こういった場面でも、やはり生きていく為に本当に必要なのは応用力・コミュニケーション能力・度胸なんだと実感しました。
重要視すべきポイント
海外に行くと、言葉が通じない美しい人より、美しくなくとも言葉が通じて上手にコミュニケーションがとれる人の方がダントツにモテるなぁと、海外デビュー以来いろんな国を訪れてみて私は感じました。
言葉が通じる環境では、美しい人の方が人目を引いたり人気があったりする傾向が一般的ですが、国が違えば文化も美的感覚も違うので、意思の疎通が図れるかどうかが重要視されるように思います。
言葉が通じず、意思の疎通が図れなさすぎて、お互いに気まずくなり自然と距離ができてしまうということは、友人間でも男女間でもよくあるパターンです。
語学力とコミュニケーション能力を身につけることは、自分のフィールドと可能性を広げることに繋がると私は考えているので、学校の成績がどうあれ、とにかく娘には語学力とコミュニケーション能力だけはしっかり身につけて、広いフィールドで思いきり楽しんで生きて欲しいと思います。