久しぶりのご報告
私には「自分で事業を展開してみたい」という昔からの夢があり、自分に合う事業、やりたい事業は何だろうと考えながら、夢の実現に向けスキルを磨くべく様々な仕事をして、自分ができることを着実に増やしてきました。
通勤の際に目の不自由な方の電車乗降のお手伝いをしたり、知的障がい者の為のスポーツイベントを運営する事業所で働くことになったりという不思議な御縁から「私が展開したいのは福祉に関する事業ではないか」と思うようになりました。そこで私は福祉関係の学校に6か月通い3つの福祉係資格を取得し、在学中に資格を活かせる就職を決め、この春からデイサービスセンターに勤務して『福祉の実践』に取り組んでいます。
デイサービスセンターとは通所型の介護施設で、送迎、入浴、運動、昼食、脳トレ、レクリエーションゲーム等のサービス提供をします。
私が働くデイサービスセンターでは毎日40名以上の方々にご利用いただいており、曜日ごとに来所する利用者の方々が違います。
利用者の方々の状況変化によってサービスの提供内容が変わるので把握しなくてはならない情報量が多く、体力的にも頭脳的にもハードな日々を送っており、休日も余力がなく前回のブログ更新から3カ月以上たってしまいました・・・・
久しぶりの更新となる今回は、夏に開催したイベントの運営について報告したいと思います。
夏のイベント『スイカ割り』
8月に夏のイベント『スイカ割り』を開催しました。
7月にイベント担当者に決まり、短い期間で準備を進めることになりました。
このデイサービスセンターで過去に一度も開催したことがないイベントだったので、一から企画内容を組み立てて予算を出し早急に事業計画書を作成する必要がありました。
通常のイベントは1日のみの開催で、特別なイベントだけ3日間程度の開催だったのに対して、今回の『スイカ割り』は6日間開催するよう指示され緊張感を覚えました。
新型コロナウィルスの影響で長期にわたり数々のイベントが中止されてきた中、やっと許可され開催するイベントなのでイベントに参加できる機会を少しでも多くの方に持ってもらえるのはとても良いことだと思いました。
デイサービスセンターに勤務してから初めて担当するイベント運営でしたが、私にはイベント運営をしていた職歴があったので、過去に学んだノウハウを活かして順調に作業を進めることができました。
私はその時「やっぱり経験は宝だなぁ」と実感し、自分のスキルを再認識することができました。
ただ、高齢者向けのイベント運営は経験がないので、新たに学んだこともたくさんあります。
念入りな確認
デイサービスセンターは『要支援者』や『要介護者』である介護保険適用者が利用する施設なので、利用者本人が「私は参加してスイカを食べる」と決めたらそれでOKということにはなりません。
イベント参加によって利用時間が延びれば延長料金が発生しますし、アレルギーや食事制限がありスイカが食べられないことを本人が認識できていないという場合があるからです。
なので、まずは参加希望とスイカを食べるかどうか本人の意思確認をしてから、介護保険を有効活用し施設等の利用プランを立てているケアマネージャーや利用者の方々のご家族に更に確認し、その結果を本人に説明して同意を得るという流れが必要になります。
また、スイカを食べられない方やスイカが嫌いな方にフルーツゼリーやお煎餅などの提供で対応する場合も、同じように確認をとらなくてはならないので、連絡の窓口となる生活相談員との迅速な連携が重要でした。
確認過程の中で、利用者の方々から「スイカが嫌いな人なんているの?!あんなに美味しいものを食べない人なんていないでしょう!」という声が上がる度に、スイカへの情熱が伝わり、私は「絶対にこのイベントを成功させて喜んでもらうぞ!」と奮起しました。
誰もが楽しめるゲーム
イベントの流れは『スイカ割りゲーム』をしてからスイカを食べ、その後に職員によるスイカ割りパフォーマンスを応援しながらご覧いただくようにし、ゲームは前方に一つ椅子を置いて順番に座っていただいて、一人ずつ実施しました。
本物のスイカではなく鈴がついたスイカのビーチボールを使用し、目を閉じた状態でスポンジ製の棒で叩くゲームで、スイカのビーチボールの位置は周りの利用者の方々が声を掛けて教え、みんなで協力して達成するゲームです。
手に麻痺がある方や車椅子を使用している方も参加するので、あえて凝ったゲームではなく、誰もが簡単にできそうな設定にしました。
スイカ割りは利用者の方々の子供時代の夏の思い出で、懐かしさに浸ってもらえると思ったのですが、スイカ割りをしたことがないという方が多く、世代や地域によって風物詩となる行事は異なると気づきました。
周りの方々の声を聞きながら恐る恐るスイカのビーチボールの位置を探って「エイッ!」という掛け声とともに力強くスポンジ製の棒が振り落とされ、見事に命中して鈴の音が鳴り響く度に大きな歓声が広がり、嬉しそうな笑顔で達成感と余韻に浸る皆さんの姿がとても印象的でした。
大きな盛り上がり
スイカは調理室で食べやすいブロック状に切ってもらう予定でしたが、イベント初日は調理室の都合で依頼できず私が切りました。
スイカをブロック状に切るのが私には難しく、初日だけは三角に切ることにしました。
スイカは真ん中が甘くて端は甘さが薄れますが、私は皆さんに同じ甘さを味わってもらいたかったので、スイカの切り方を調べて三角の先端がどれも真ん中部分になるように切りました。
なんとか見栄え良く切れたスイカを皆さんに手に持ってかぶりついていただくと「スイカを食べてる実感があって食べ応えがある!甘くて美味しい!」というお声をいただき、頑張って切った甲斐があったと思いました。
スイカを味わった後は、職員のスイカ割りを応援していただきました。
『スイカ割りゲーム』は、安全性を重視し椅子に座ったまま実施しましたが、職員のスイカ割りは目を閉じてグルグルと3回転してから離れた所に置いてあるスイカのビーチボールまで歩いて進むという本格的なものでした。
目が回った状態の職員がヨロヨロと足を踏み出すと、元気な声で「もっと右!そのまま5歩進んで!」とか「違う!右に行きすぎ!少し戻って!」などと熱烈な指示が飛び交い、見事にスイカのビーチボールを力強く叩くと歓声と笑い声が溢れ、一段と大きな盛り上がりを見せました。
残念な事故
順調に開催されていたイベントですが、最終日の『スイカ割りゲーム』で、スポンジ製の棒をスイカのビーチボールに振り落とした際に利用者の方が椅子から落ちてしまう事故がありました。
幸いその方に怪我はなくご無事でしたが、「ちょっと勢いをつけ過ぎてしまったが、まさかこんなにも自分の脚で踏ん張れなくなっているとは・・・」とご自分の身体機能についてショックを受けており、私はとても申し訳なく思いました。
その方が数日前にも同じゲームを問題なく楽しんでいたこと、今まで事故なく安全にゲームを実施できていたこと、6日間のイベントが今日で終わるという安堵感などから気が緩んで起きてしまった事故だと思いましたし、怪我はなくともその方に悲しい思いをさせてしまったからです。
また、高齢者のゲーム実施時の対応に関して私にもっと知識と経験があったなら、椅子から落ちないよう何度も注意喚起のお声掛けをし、適切な立ち位置での見守りをして椅子から滑り落ちる前に素早く身体を支えて防止することができたのではないかと思うと、自分の未熟さを思い知り深く反省しました。
怪我の有無にかかわらず、事故が起きたら『事故報告書』の提出義務があり、私は初めて『事故報告書』を作成し提出しました。
失敗からの学び
今回の事故で、その利用者の方に対する申し訳なさと自分の不甲斐なさに対する悔しさでだいぶ落ち込みましたが、『転んだら必ず何かを得て立ち上がる』というのが私のモットーなので、今回の件からもしっかりと学び教訓を得ました。
椅子からの転落防止策として、今後はゲーム中に腰を押さえて落ちないようにすればいいのではないかと単純に考えたのですが、それは禁止されている『身体拘束』になってしまうとのことで、結局のところ事故防止には見守る際の洞察力と反射力がものを言うのだと知りました。
そこで私は、レクリエーションゲームの際に安全確保のための目配りや注意喚起、自分の立ち位置の確認、素早く反応できるフットワークを常に意識することを徹底し、日々訓練を積んでいます。
『拘束』は介護における非常に難しいテーマなので、掘り下げて今度お伝えしたいと思っています。
思い出と笑顔
ようやく先月、イベントの際に撮影したスナップ写真を綴りアルバムを完成させて利用者の方々にご覧いただきました。
写真を眺めながら楽しかった夏のイベントを思い返し、笑顔で会話に花を咲かせる利用者の方々の様子を見る度に、「残念な出来事に辛い思いもしたけど、喜んでもらえるイベントを開催できて本当に良かったなぁ・・・」と心地良い達成感と幸福感に包まれます。
笑顔は脳を活性化させ、免疫力を高めてくれるので、私はいつも利用者の方々により多く笑顔で楽しい気持ちになってもらえるように心掛けて接しています。
今後もまたイベント開催やレクリエーションゲーム提供の経験を重ね、利用者の方々の笑顔づくりと自身の更なるスキルアップに励みたいと思います。
また近況を皆様にお伝えさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします (*^-^*)