見直しの良い機会
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、外出せずに過ごす『おうち時間』が増え、家の中にある物を見直して片付ける良い機会ができました。
私は、サイズや丈が合わなくなった自分の洋服のお直しをして着られるようにしたり、何着かの子供服をリメイクしてエコバッグを作ったり、汚れてもう着られない洋服を手ごろな大きさに裁断してプチ雑巾を作ったりと有効な再利用を試みました。
そして今度は、ずっと保管してある子供用品の見直しに取り掛かりました。
子供の成長速度は親の予想を上回り、サイズが合わなくなって数回しか着用できなかった洋服や靴が少なくありませんし、中には一度も着用しないでしまった物もあります。
お裁縫が好きな私ですが、スーツやコートなどは下手にリメイクをしてせっかくの型を崩してしまうのがもったいないので、手を着けずにそのまま保管していました。
卒業式の服装
この地域の小学校では卒業生が袴姿で卒業式に出席するのが主流で、娘も袴を着るつもりでいたのですが、卒業式の頃でもまだ雪が残っているこの地域の厳しい自然環境を考慮した娘が「寒い朝に美容室に行くために早起きするのキツくて嫌だし、雪の中を袴姿で移動するのは大変そうだから卒業式はスーツを着る。」と言い出したので、袴は別日に写真館で撮影する時だけ着ることにして、卒業式用のフォーマルスーツを探し始めました。
なるべく明るい色のスーツを探そうとしても、入園式や入学式で着る小さな子供用の可愛らしいスーツとはだいぶ違い、少しお姉さんなお年頃向けの子供用スーツは白黒や紺色のシックで大人っぽいデザインのものが多く、なかなかイメージに合うものが見つかりませんでしたが、晴れ舞台の卒業式で着るスーツなので私たちは根気よく探し続けました。
フォーマルスーツ
春らしい色のスーツ用布地が家に買い置きしてあったので、私がスーツを作ってしまった方が早いかなとも思いましたが、小学校を卒業する頃の子供の服となるとジャケットに『プリンセスライン』という縦の曲線切り替えを入れたりしてウエストラインを絞らないとダボついてしまいます。
スタイリッシュなシルエットに仕上げるためには型紙を起こして正確な裁断をする必要があり、小さな子供用の洋服のように短時間で簡単には作れないので断念し、ひたすら既製品を探し続けました。
ピンクのラインでトリミングされた淡いグレーのジャケットとパステル系の紫色とピンクのチェック柄スカートがセットになった素敵なスーツをようやく探し当て、娘はそれを着用して卒業式に臨み無事に記念すべき式典は終わったのですが、その後はスーツを着る機会がなく、結局は一度しか着用しませんでした。
キレイな保管品
夏用や冬用など使用する季節が決まっている洋服は着る回数がとても少ないので、浴衣や半袖の洋服、綿入りコートや冬用小物もほとんど傷みがないものが多くありました。
電子バイオリンやキッズパソコンなどのオモチャも娘が使用しなくなってからは購入時の箱に説明書と一緒に入れて保管しており、絵本はカバーが破れないようにあらかじめ外した状態で使用し、もう使用しなくなって箱に保管する際にカバーを再度戻していたので新品に近い見た目でした。
幼稚園児だった娘に購入した子供用自転車は、流行のキャラクターものではなく、自転車専門店で選んだカゴがバスケットになっている何気にフランスっぽい(?)シンプルでお洒落な赤い自転車で、あまり乗る機会がないままヘルメットと外した補助輪と共に室内で保管していたのでほぼ無傷でした。
応援したい対象
私が子供用品をずっと大事に保管していたのは、キレイな状態で品質もそれなりに良い物なので、自分が応援したいと思える人にお譲りして、ぜひ育児に役立ててもらいたいと思ったからです。
残念ながら今まで私の周りにはお譲りする対象として該当する人が見当たらず、家での保管が何年も続いていました。
ですが今回、新型コロナウイルス感染拡大の影響で被害を受けた社会のニュースを目にする内に私は「様々な事情を抱えながら逆境の中で頑張っている母子家庭の方々を応援することはできないだろうか?!」と思いつきました。
そこで早速この地域の母子家庭支援団体に問い合わせると、その支援団体の施設に子供用品を持っていけば事務局から情報を発信して必要な方々にお渡しできるとのことだったので、私は張り切って保管してきた子供用品を整理し始めました。
運搬準備
押し入れや物置の奥の方から数々の段ボール箱を引っ張り出して、結構な数の子供用品を一点ずつチェックし、念のために最後に洗ったり拭いたりして状態を整え、持ち運びがしやすいように絵本以外の荷物は持ち手がついた丈夫な紙袋に入れ替えました。
この機会に合わせて、デニム生地の洋服を新たなポシェットにリメイクして荷物に追加したので、運搬の準備が完了するまで数日掛かりました。
私は車を運転しないので運搬にはタクシーを利用する予定でしたが、子供用の自転車やスキー類は大きくかさばりセダン型のタクシーだと一度に運ぶのが無理そうなので、ワゴン型のタクシーを手配できないか調べました。
チャーター料金2000円とメーター運賃の支払いで全ての荷物を一度に運べる大きなワゴン型タクシーがあることがわかり、私はチャーター予約をしました。
自分なりのボランティア
子供用の自転車とスキー類の他に、洋服、靴、オモチャ、バッグ、ヘアアクセサリーなどが入った大きい紙袋13袋と絵本が入った段ボール箱1個を大型タクシーで支援団体の施設に運び、職員の方々に引き渡すと「すごくキレイな状態ですね!たくさんのご寄付をありがとうございます。こちらで責任を持って必要な方々にお渡ししますね!」と言ってもらえました。
それを聞いて私は、家のスペースが奪われ続けながらも子供用品を良い状態で保管してきた甲斐があったとしみじみ感じ、自分の行いが報われた喜びと、自分が応援したいと思える人たちのお役に立てる嬉しさでとても爽やかな気持ちになりました。
その日はこの夏一番ぐらいの猛暑で体力を奪われるような暑さでしたが、自分の身の丈に合った自分なりのボランティア活動ができた充実感で不思議なパワーが溢れ、私は炎天下も気にならず弾む足取りで施設を後にしました。
必ずあるプラス要素
ボランティア活動の良い機会なので、子供用品の運搬には娘も同行の予定だったのですが、テスト勉強に追われてかなり大変そうだったので私一人で出掛けました。
帰宅して、職員の方々からいただいた言葉を娘に伝えると、自分が愛着を持って大切に使っていたお気に入りの物が誰かの役に立てることが私と同様に嬉しいようで、とてもいい笑顔で話を聞いていました。
今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で自粛が求められ、おばあちゃんの新盆のための帰省も、毎年恒例のリゾート旅行も中止して本当に静かに過ごしていますが、この期間に自分なりのボランティア活動ができたのは時間に余裕があったからなので、現在の環境の中にもプラス要素があることがわかります。
私は、今後また環境が変わってもポジティブな思考を忘れずに、日々の中に幸福感を感じながら生きようと思います。
我が家では最近、暑さを吹き飛ばすべく大きなスイカを豪快に食べて夏をこよなく実感できていることがささやかな幸せです🍉