『老猫ちゃん』と『里帰り』
2018年9月の大規模な震災の後、ウチの愛しい老猫ちゃんが痙攣のような発作を2度ほど起こしたので、それ以来、外泊するのをやめて老猫ちゃんと毎晩一緒に過ごし、老猫ちゃんが無事に過ごせるよう身体的にも精神的にも注意深いケアを続けてきました。
その成果があってか、老猫ちゃんは良く食べ良く寝て毎日を穏やかに暮らし、この3月のお誕生日でめでたく22歳になりました。
毎年、ゴールデンウィークは実家で暮らす102歳のおばあちゃんに会いに里帰りをしていましたが、今年は老猫ちゃんの体調次第では家を空けるのは無理かもしれないと思っていました。
ですが、老猫ちゃんの様子を観察した限り、発作を起こすことなく健康的な状態に落ち着いてくれたようなので、このゴールデンウィークも例年通り里帰りをすることになりました。
ありがたい出逢い
ペットシッターさんに連絡をすると、いつものようにトカゲちゃんと一緒に打ち合わせに来てくれました。
トカゲちゃんもウチに遊びに来るのにすっかり慣れたようで、娘におとなしく抱っこされ頭を撫でられながら気持ち良さそうに寛いでいました。
久しぶりに引っ張り出したスーツケースを見て「ムムッ!またどこかに行く気にゃ?」と目を吊り上げて警戒していた老猫ちゃんも、いつも優しくしてくれるペットシッターさんに会うと「ニャーン♥」と可愛い声でご挨拶をし、存分に撫でてもらっていました。
私たちが家を空けられるのは、安心してお任せできるペットシッターさんがいるからこそで、ウチの老猫ちゃんとも私たちとも相性が良いペットシッターさんに出逢えて本当に良かったと思っています。
影響されやすい私たち
娘のお誕生日、小学校卒業、中学校進学と記念行事が続きましたが、外泊を自粛していた為、娘をどこにも旅行に連れて行ってあげられなかったので、ゴールデンウィークのお出掛けは娘の要望を大幅に取り入れて計画しました。
娘がテレビのローカル番組で紹介された新しいフェリーに乗りたいと盛り上がっていたので、行きはフェリーを利用することにしました。
私たち親子は、映像を見るとすぐに影響されて食べたり利用したりする、テレビ番組やCMの製作者の思惑通りに動きがちな消費者です(^^;)
私たちが利用する航路のフェリーは3隻が日替わりで運行するので、まずは新しいフェリーの運航日と部屋の空き状況を調べ、予約がとれる日をベースに旅行の日程を決めました。
娘の情熱
私は船旅が好きでクルーズ客船もフェリーも何度か乗船しており、船上デッキのプールやジャグジー、大浴場で寛いだり、夜に開催されるショーを鑑賞したりするのが特に好きでしたが、今回、娘が乗りたがっている新しいフェリーではショーの開催がありませんでした。
私は「ショーの観賞こそが船旅の醍醐味なのよ!ショーが開催されるフェリーを予約しない?」と娘に提案したのですが「私はせっかくだから新しいフェリーに乗ってみたいの!お部屋だって新しくて綺麗な方がいいでしょ!!」と驚くほどの情熱で押し切られ、確かに新しいフェリーは部屋のタイプも変わっていて面白そうだったので、今回は娘の希望を優先して2段ベッドになっている窓付きの個室を利用することにしました。
快適なフェリー旅
当日はお天気が良く、船のデッキからは夕陽が海に映えた素敵な景色が見れたので、デッキを少し散歩して写真を撮り、その後すぐに船内のビュッフェレストランで夕食をとりました。
船が小さめなのでレストランも小さめでしたが、和洋中のお料理が1列に並んでいて利用しやすかったです。
ビーフステーキや、地元のシーフードを使った美味しいお料理を頂き、食後は紅茶を飲みながら娘と「やっぱり船旅は特別感があって楽しいね!」と盛り上がり、お喋りを楽しみました。
レストランのすぐ側でピアノ演奏が行われていたので、近くのソファーに座って鑑賞しました。
シアターでのショーとは違い短時間の演奏でしたが、ピアノとの距離が近い分、演奏者の表情を間近に見ながら迫力のある音が聴けました。
寛ぎの時間
お部屋に戻り、少し休んでから大浴場に行きました。
外はもう既に暗くなっていたので窓から海の景色は見えませんでしたが、海の上で緩やかな船の揺れを感じながらお湯に浸かる不思議な感覚の入浴は楽しかったです。
お風呂上りは売店に寄り、冷たい飲み物を買ってお部屋に戻りました。
娘は初めての2段ベッドにテンションが上がり、上段のベッドでゴロゴロしながらテレビをみたりiPadでゲームをしたりと好きなように過ごし、私は半分だけ上段のベッドと重なっている下段のベッドで、まるで洞窟の中に上半身だけ入っているような状態で横たわりながらテレビを見ていました。
こんな風に寛ぎながら移動ができるとラクなので、これからは里帰りの片道は毎回フェリーにするのも良いなと思いました。
贅沢な朝
船に揺られながら心地良く眠れたので、朝は思いのほか早く目が覚めました。
お部屋の窓から外を見ると視界に大海原が広がり、船旅の贅沢さを満喫しました。
雨が降っていたのでデッキには出られませんでしたが、展望フロアーのソファーに座ってお茶を飲みながら海を眺め、軽めの朝食をとりました。
時間に余裕があったので、窓から海が見える大浴場で朝風呂を楽しみ、すがすがしい気分で下船の準備をしました。
その日は、到着したフェリーターミナルから街までバスで移動し、街のバスターミナルから更に長距離バスに乗って実家に向かうという、移動だけで疲れそうな予定だったので、朝のリラックスできるひと時は貴重でした。
下船の列に早めに並んだので、時間通りに下船しスムーズにバスに乗ることができました。
至福のグルメ
お昼前に街に着き、駅のお土産店で以前から気になっていた新作のお菓子を実家のお土産に購入してから、長距離バスのターミナルへ向かいました。
思っていたよりも早く街に着いたので、予約していたバスよりも1便早いバスに変更してチケットを購入し、出発までの時間にいつもの牛タン屋さんで昼食をとりました。
厚いのに柔らかくてすぐに噛み切れるジューシーな牛タン、わさび醤油で頂く新鮮なホヤの刺身、昔よく食べていたホタルイカの沖漬けをつまみにビールを飲み、本当に美味しいと感動したときに、気取ることも忘れてつい口からこぼれ出る「うんめぇっ!」という素のフレーズを連発しながら味わいました。
私は毎回、この至福の時間があるから、実家までの長距離バスで4時間ほどの移動に耐えることができています。
健康な家族
ゴールデンウィークの渋滞で少し予定よりも長いバス移動となりましたが、無事に実家に着くことができました。
102歳のおばあちゃんは、ボケてはいましたがとても元気そうで、娘の姿を見ると誰だかはっきりとはわからないものの、笑顔で喜んでいました。
週に5日、地域のデイケアサービスセンターに通い、レクリエーションゲームをして遊んだり、体操をしたり、お風呂に入ったりして活発に過ごし、食事も残さずにモリモリ食べているとのことで安心しました。
両親もだいぶ年齢を重ねていますが病気をすることもなく、週に何度かはスポーツクラブに通い水泳などで体を動かしているようで、遠く離れて暮らす家族が健康でいてくれるのは本当にありがたいことだと思いました。
里帰りの目的
今までは実家に帰ると、近くにある海岸沿いの温泉旅館にみんなで宿泊していたのですが、102歳のおばあちゃんのボケの症状が進み、夜中に目を覚ましたきりしばらく眠らないことがあるとのことだったので、今回はずっと家で過ごしました。
温泉旅館で大きなお風呂に浸かり、新鮮な魚介類や懐かしい郷土料理を食べてのんびりと過ごすのも好きですが、私の里帰りの目的は長生きしてくれているおばあちゃんに会うこと、ご先祖様のお墓参りに行くこと、即身仏として祀られている上人様にご挨拶に行くことなので、それらができれば十分満足です。
故郷を離れて暮らし始め、もう随分と年月が経ちますが、私は若い頃から実家に帰る度にご先祖様のお墓参りを欠かしたことがありません。
『お墓参り』と『お寺参り』
今年は実家にいる間はずっと雨が続く天気予報だったのですが、ラッキーなことに雨に降られることもなくお墓参りやお寺参りをすることができました。
ご先祖様のお墓参りに行くとなぜだかとても心が落ち着き、自分が常に守られているような気がします。
即身仏を祀っているお寺では、即身仏になった上人様について新たなお話を聞くことができました。
即身仏になることを目指す上人様は、死後もこの世に人の姿で留まって人々を見守る為に、お寺の住職を引退後、山に籠って修業を積んだ後に即身仏となるので『神仏』として祀られているのではなく『尊い志を持った人間』として祀られており、例えて言うならそのお寺の住職のOBのような存在とのことでした。
大きな安心感
そのお話を聞いた私は上人様の献身的精神に更に感動し、『人間として祀られている』と認識することで、より特別な偉大さを感じると同時に、上人様に対し以前よりも親しみのある印象を持ちました。
きっと、上人様が今も見守り続けてくれているから、この地域では大きな災害もなく、平和な時が流れているのだろうなと思い、自分が尊い心で守られたこの地域で生まれ育ったことに感謝し、大きな安心感に包まれながらお寺を後にしました。
※『久しぶりの旅行』Vol.2へ続く