『福祉の実践』始めました

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福祉の学び

私には「人生で一度は自分で事業を展開してみたい」という夢があり、自分がしたいこと、できることは何だろうと模索しながらいろいろな仕事を経験してスキルを磨いてきました。
地域の経済団体に勤務していた頃、通勤途中に目の不自由な方と一緒になる機会があり、電車の乗降や歩行のお手伝いをしている内に「私が展開したいのは福祉に関連する事業なんじゃないか」と感じるようになりました。
それを実現させる為には、口先や理想だけではなく実際に助けを必要としている人と関わり『福祉の精神』を知ること、自分に向き合い自分がどこまでできるのかを知ることが大事だと考えた私は、福祉について勉強し『福祉系資格』を取得しようと決め、2020年9月から学校に通い始めました。

資格取得から実践へ

本来なら2年かけて学ぶ分厚い教科書6冊分を6ヶ月間で学び終え、3つの資格を取得するというコースだったので、平日の朝9時から夕方5時ぐらいまで1コマ1時間の授業を6時間びっしり受けた上に自主学習が欠かせないハードな内容でした。
人体の機能、老化による症状と予防策、人権や尊厳に関する法律、福祉制度、コミュニケーション術、医療的なケアとそれに関する法律などを必死に学び、目標だった3つの福祉系資格を取得して、今年の3月に晴れて卒業することができました。
学校でしっかり学んで知識を身につけた次は、現場での実践を通して現実的な技術を学ぶ番ということで、現在は在学中に決めた就職先で資格を活かした仕事をしています。


新たな職場

私が選んだ職場は高齢者向けのデイサービスセンターです。
デイサービスとは日帰りの通所介護のことで、利用者の方々に送迎、入浴、運動、昼食、レクリエーションなどのサービスを提供します。
様々な種類の福祉施設がある中で私がデイサービスセンターを選んだのは、私を育ててくれたおばあちゃんの影響です。
私の大好きなおばあちゃんは昨年の4月に103歳の寿命を全うし、病気で苦しむこともなく眠るように穏やかに旅立ちました。
新型コロナウィルスの影響で遠く離れた実家への往来もままならず、私は葬儀に参列することができませんでした。
大正生まれのおばあちゃんはご先祖様の伝統にならい、和服姿真面目な表情の写真を写真館で撮影し、自分の遺影として準備していたようでした。

楽しいデイサービス

おばあちゃんは近所のデイサービスセンターを週3回利用しており、大きなお風呂に入って美味しい昼食を食べ、みんなとゲームをして遊べるデイサービスが大のお気に入りでした。
休むことなく元気に通い、デイサービスに行かない日は「今日はデイサービスの日じゃないの?」とか「次にデイサービスに行けるのはいつ?」と母にたずねては心待ちにしていたそうです。
私は娘と実家に帰省した際にデイサービスセンターにご挨拶がてら見学に行かせてもらったことがあります。
おばあちゃんは職員の方々に親しく呼びかけられ、満面の笑みでお喋りに花を咲かせていました。
レクリエーションのゲームには私と娘も参加し、おばあちゃんと娘は90歳差の『ひいおばあちゃんと曾孫ペア』になって仲良くはしゃいでいました。

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おばあちゃんの笑顔

地元で100歳を超えている人は珍しかったようで、おばあちゃんの103歳のお誕生月にデイサービスセンターでお祝いのイベントを開き記念撮影をしてくれました。
おばあちゃんは嬉しくて仕方ない最高の笑顔で写っていました。
母は「笑っているおばあちゃんを思い出して欲しいから」と、おばあちゃんが準備した気難しそうな顔の写真ではなく笑顔の記念写真を選び、遺影として私たちのもとへ送ってくれました。
私は、最期におばあちゃんに会うことができなくて悲しかったのですが、おばあちゃんの笑顔の写真につられて穏やかに微笑むことができました。
朝のお供えをするとき、帰宅して「ただいま」と声をかけるとき、おばあちゃんの幸せそうな笑顔は私を癒して優しい気持ちにしてくれます。

私の選択

おばあちゃんの笑顔勇気も与えてくれます。
挫けそうなときには「芯が強く賢明で何でもこなす自慢のおばあちゃんに育ててもらえた私は、その逞しさを受け継いでいるんだから絶対に大丈夫!」と思わせてくれるのです。
もうおばあちゃんに会うことはできないけれど、今も励まされ守られていると強く感じます。
いつもおばあちゃんに親切に接し、心地よく過ごさせてくれたデイサービスセンターの方々に私は心から感謝しています。
私もそんな風に明るく親切に接し、一人でも多くの高齢者の方に笑って楽しんでもらうことができたら、おばあちゃんにとても良くしてもらったことへの恩返しに繋がるのではないかと考え、『福祉の精神』を知る為の挑戦の場として高齢者向けデイサービスセンターを選びました。

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最初の3カ月

勤務を開始して約3カ月が過ぎました。
私が勤務するデイサービスセンターには毎日30~40人の利用者の方々が来所します。
曜日によって利用者が違うので名前と顔、特徴を覚えるのがとにかく大変でした。
特に入浴時は洋服やメガネ等を身につけない為、印象が変わり目印もない状態になるので、顔と名前を一致させるのに苦戦しました。
業務の種類が多く覚える内容がたくさんあるのですが、日によって担当業務が違う為、一度教わった仕事でも担当しない日が何日も続くと細かい部分を忘れてしまいますし、とにかく忙しくてメモをとる時間がほとんどないので、仕事を一通り覚えるまでの困難さは、今まで経験した仕事の中で一番でした。

実践と成長

私は未経験からのスタートだったので、初めて行う介助の実践では緊張の繰り返しでした。
学校で生徒がモデルになって介助の練習をする実技の授業はありましたが、実際に身体に不自由のある高齢者に介助をするのとはかなり違いますし、緊張のあまり頭が真っ白になってしまうこともありました。
「怪我をさせてしまったらどうしよう・・・」という不安もあり、精神的な負担が大きかったです。
アワアワしながらもなんとか実践を繰り返し、約3カ月過ぎた今は自立自信を持って一通りの仕事ができるようになったので、これからは更に洞察力コミュニケーション能力を発揮して一歩踏み込んだサービス提供ができるように、次の段階へと前進したいと考えています。

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自分の強み

年齢と共に体力や記憶力は低下するので仕事を覚えるスピード持久力は若い頃のようにいきませんが「他人と比較されようが急かされようが、無理をして自分が体を壊してはできる介助もできなくなってしまい元も子もない。」マイペースで最初の約3カ月を歩んでこれたのは、今までの人生から得た揺るがない経験と知恵があったからなので、年齢を重ねてから新たな挑戦することってマイナスなことばかりじゃないと実感しました。
また、自分が実際に身体の老いを感じることで高齢者が不便に思っていることや不安な気持ち理解共感できるので親身な言動寄り添うことができ、それは高齢者に関わる福祉の仕事をしていく上でとても重要な強みになると思っています。

『辛さ』と『やり甲斐』

デイサービスセンターでは入浴介助が仕事の中心になります。
洗髪や洗体の介助、浴室での歩行介助の他に、車椅子利用の方をお風呂用の車椅子に移乗(乗換え)させリフトというブランコ状の機械を使用して入浴させる『リフト浴』という介助などがあります。
新型コロナウィルス感染予防対策の為、不織布のマスクをしたまま入浴介助を行い、『リフト浴』では自分も太ももまでお湯にしばらく浸かるので、脱水症状にならないようにポカリスエットと首に巻く冷却タオルが欠かせません。
入浴介助は長時間サウナの中で運動しているような状態ですから特にきついのですが、利用者の方々に「気持ち良かった、ありがとう。」という言葉をいただくと、私は辛さよりもやり甲斐を感じます。

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健康的な生活

朝は健康の為に40分程の道のりを歩いて通勤しているので、第二の心臓であるふくらはぎの『ヒラメ筋』がだいぶ鍛えられています。
1日中立ちっぱなし動きっぱなしの仕事で、スポーツジムでトレーニングしているのと同等の運動量なので、夜は寝落ちして気がつくと朝になっているということが多いです。
休日も次の日からの仕事に向け体力を温存すべく寝て過ごし、40代後半の身体にはだいぶ過酷な生活スタイルにも思えますが、考えようによっては身体を鍛えて体力をつける良い機会ですし、多くの仕事を覚えるのに必死に脳を働かせることは脳トレ認知症の予防になるので、ポジティブに頑張ろうと思います。
今の仕事で運動量が増え4キロ痩せたので、この調子でメタボリック症候群や糖尿病の予防にも取り組んでいきたいです。

今後の課題

まだほんの3カ月程ですが、現場に出て実際に助けが必要な方々と関わってみて、高齢者が抱える孤独感、不安、身体的な不便さによる悲しみや苛立ちなどに触れ、現実を知って自分なりに思うところがありました。
今後も更に視野を広げて利用者の方々の変化に気づき、高齢者の現状をもっとよく知ることで、高齢者の為の福祉に必要とされるサービスや課題は何かを現場の目線で考えていきたいと思います。

次回は近況と共に、気づいたことなどをご報告させていただきますね (*^-^*)

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